アウトプット機会を増やし、論理的思考の醸成に貢献

留学生にもわかりやすい学習ツールとなるkintone


東北電子専門学校

【学校紹介】

ビジネス、IT・AI、ゲーム・CG、映像・音響・ミュージック、建築、電気・機械など多彩な学科が学べる専門学校。リーズナブルな学費で最新の知識・技術・技能を身につけられ優れた就職・資格取得実績を持つ情報教育伝統校。

IT分野を中心に、ゲームやCGといったクリエイティブ系の学科、そしてビジネス系の学科など9系統23学科を展開する学校法人日本コンピュータ学園 東北電子専門学校では、世界で活躍できる人材育成のための留学生向けの学科である国際ビジネス科のカリキュラムのなかでサイボウズのkintoneを活用している。その経緯について、教務部長 岩間 宏博氏とともに、2人の生徒にお話を伺った。

【課題】日本語の習得過程にある留学生だからこそ、アウトプットする機会を増やしたい

1943年に設立され、東北においてIT分野の専門学校としてリーディング的な位置付けを誇る学校法人日本コンピュータ学園 東北電子専門学校。東北では随一となる9系統23学科を運営しており、留学生を含めて4万3000人を超える人材を輩出するなど、ITの実学を中心とした学びを通じて即戦力となる人材育成を進めており、東北を中心とした地域社会に貢献する人材を育てている。

同校が設置している学科の1つである国際ビジネス科では、東北地方にあるビジネス分野の専門学校において留学生の在籍数が最も多く、1学年では、約180名の留学生が学びを深めている。2年間を通じて約10種類以上の異なる資格試験が受験できるカリキュラムが組まれているなど、国際的視野を持つ仕事のエキスパート育成を進めている。日本企業への就職をバックアップすることで、就職希望者に対する内定率はほぼ100%という高い就職実績を誇っているのが特徴だ。

国際ビジネス科では、ITスキルを活かして日本社会に貢献する人材を育成するIT専攻を設置しており、Javaなどのプログラミング言語を含む授業を展開しているが、留学生向けの学科であるがゆえに、授業展開の難しさを抱えていたという。「日本語能力が高い学生が必ずしもコンピュータ言語に長けているわけではなく、その逆のケースもあります。プログラミング言語を学ぶ本来の目的は、言語そのものよりも論理的な思考力の育成にあるという考えに至ったのです」と岩間氏は語る。日本語での指示や言語の習得が難しい留学生にとって、直感的に操作でき、ピースを組み合わせるようにアプリを作成できるツールがあれば、操作に時間を取られずに思考に時間を費やすことができると考えたという。

同時に、東北地方の企業ではITスキルを持った人材が不足しており、地域に定着してもらうためにも、プログラミング言語自体の科目が多少減ったとしても、それに見合ったITスキルを持っているという教育内容が重要視されていたのだ。「留学生の学科は、日本人の学科と比べて日本語の授業割合が多く、他のパソコン科目もインプット要素が強めなのが特徴です。ExcelやWordなどの操作ができても、なぜその操作をするのか、実社会でどのように使うのかという考え方の部分が不足してしまう傾向にあります。パーツを配置することでどういった意味合いがあるのかを考えさせることを重視し、学んだことをアウトプットする機会を増やそうと考えたのです」と岩間氏はその意図を説明する。

東北電子専門学校 教務部長

岩間 宏博氏

【選定】パーツの組み合わせでアプリ作成できることで、論理的思考の学びに最適だった

論理的思考を学ぶための環境づくりを検討する過程で、教育関連のセミナーで出会ったのがkintoneだった。日本語の習得途上にある留学生にとって、難しい日本語での指示がITツールを学ぶうえで高いハードルになってしまうなか、視覚的に理解しやすく、直感的に操作できる点を高く評価したという。「ITが専門分野でないため、kintone以外のノーコードツールは正直把握していませんでしたが、初めて見たときから、直感的に面白そうな印象を持ちました。留学生の学科に効果があるのではという可能性を感じたのです」と岩間氏。

また、用意されたパーツをドラッグ&ドロップすることでアプリが作成できるため、どのように考えればアプリが完成するのか、そして、利用者が使いやすく情報を登録したり、管理できるのか、という論理的な思考に時間をかけることができると考えた岩間氏。「直感的に操作できるkintoneであれば、学生が自分で試行錯誤しやすく、教員が詳細な操作方法を細かく教える必要が少ないなど、我々の負担も軽減できると期待したのです」。

kintoneについてはIT系の専門学校が集まる協会での講演を聞く機会やサイボウズの営業から複数回にわたってkintoneの広がりや授業での有用性を聞く機会があり、kintoneの教育カリキュラムが充実していることが同校の上級管理職に認知されたという。その結果、「留学生の学科へkintoneを導入する意思決定がされたのです」と岩間氏。

【効果】教育教材として最適な素材としてのkintone、アウトプットツールとして高く評価

週1コマでアプリ制作、導入前の課題も触れながら発表会を開催

国際ビジネス科においては、前期でWord、Excelなどのオフィスアプリケーションの基礎を学んだ後の後期カリキュラムにkintoneが組み込まれており、週1コマほどのペースで留学生がkintoneに触れながら論理的な思考の学びに生かしている。「日付と日時の違いといった日本語の理解を同時に行いながら、教員が指示した日報などのアプリや自ら考えたアプリを作成、パーツを組み合わせながら操作に慣れてもらいました」と岩間氏は説明する。週1コマという授業時間の制約を加味したうえで、プラグイン活用や高度な実装はせず、kintoneの標準機能のみで制作を進めている。

留学生がそれぞれ考えたアプリには、入国時の申告書アプリや在留カード、学生関連の情報管理アプリなど、学校生活やアルバイト先で役立つようなものが多く見られたという。思考の固定化を防ぐためテンプレートは活用せず、ルビがないと日本語テキストが理解しづらい留学生にも理解しやすいよう、教員がkintoneアプリの作り方を実演したうえで学生に操作してもらう形式をとっている。そして最終的には、発表会を通じて個人やグループの単位で作成したアプリをアウトプットしている。「グループワークのテーマでは、サイボウズの営業にも相談しながらお題を検討して週報アプリを作成してもらいました。単にアプリ制作だけでなく、なぜ紙の週報だと不便なのかについても一緒に考えてもらって発表してもらいました」と岩間氏。

アウトプットする機会を増やして論理的思考の醸成に貢献

kintoneを活用したことで、インプット中心になりがちなカリキュラムをうまく補完し、論理的思考力を養うアウトプット機会を増やすことができたと評価する。「2年生で実施するプレゼンテーション演習などの際には、自国の魅力をアピールしてもらうような観光マーケティング寄りの授業を行います。日本人がどんな課題を持ってどんな興味を持っているのかという視点からアプローチしてもらううえで、kintoneアプリの作成は論理的な思考の醸成に役立ってくれるはず」と岩間氏。2年次の演習に活かしやすいよう、1年次の後期にkintoneをカリキュラムに組み込んでいる意図がそこにあったという。

週1コマでアプリ制作、導入前の課題も触れながら発表会を開催

kintoneに触れた留学生からは、Wordなどとは違って楽しい印象を持ったという声が寄せられている。特に日本語での細かい指示が難しくても、視覚的にパーツを組み合わせることで、アプリの仕組みを感覚的に理解しやすいと評判だ。「ルールが決まっているなかでパズルを組み合わせるような面白さを感じた」とルプラル氏。アンポイ氏も「Wordであれば文章、Excelなら計算式で表にするという使い方になりますが、kintoneは機能ごとに役割の異なるパーツをうまく組み合わせて自由にアプリ制作できることが違いますし、使いやすいと感じました」と語る。

仕事での情報共有に役立ちそうだと語るのはルプラル氏だ。「カリキュラムは終わりましたが、もう少しアカウントを維持してもらえれば触ってみたい。機会があれば、日本の企業や母国に戻った後でもkintoneで学んだことが役立つとうれしい」。また普段Microsoft Teamsを使って学校内では連絡や情報共有を行っているアンポイ氏だが、まさにkintoneを使うことで同じような情報共有の環境が整備できるという印象を持ったという。「グループワークとして発表会を行いましたが、kintoneでメンバーと連絡を取り合いながら日本語でコミュニケーションする機会が持てたのはとても良かった。プレゼンテーションを通じてお互いにわかりやすく伝えるスキルを学べたのも、kintoneを活用したグループワークがあったからこそ」と語る。

アンポイ氏(国際ビジネス科1年)、ルプラル氏(国際ビジネス科1年)、岩間氏

学生が実際に作成したアプリ

情報共有に活用したスペース

今回、留学生向けのカリキュラムにkintoneを組み込んでいくことができたのは、授業内容の相談から学生が行う発表会への参加など、単なる製品提供にとどまらないサイボウズからの手厚い支援があったからこそだと高く評価する。「カリキュラムを編成する際の内部委員会にも参加いただいてご意見いただくなど、教育分野における積極的な姿勢を実感しています。フットワークの良さは大きな魅力の1つではないでしょうか」と岩間氏は振り返る。

ハッカソンなど新たな手法も駆使しながら、教育現場へのさらなる展開に期待

現在は国際ビジネス科の1年生後期カリキュラムの一部にkintoneを活用しているが、今後も引き続きアウトプットを増やしながら論理的思考力の醸成に役立てていきたいという。「理想を言えば、週1コマという限られた時間を拡大し、学生がkintoneに触れる機会をさらに増やしていきたい」と岩間氏は意欲的だ。

また、制作されたアプリの発表会はもちろん、ハッカソン形式など学生同士が競い合いながら学べる環境を提供し、学生のモチベーションを高めていきながら、より実践的なスキル習得につなげていきたいという。「異国籍の学生同士が母国語ではなく日本語でアイデアを交換しながら協力して何かを作り上げるという経験は、日本語でのコミュニケーション能力の向上という点でも大きな意義があるはず」と岩間氏。ルプラル氏も「授業では日本語でkintoneに触れましたが、英語版であれば母国のネパールでも教えていくことができそう」と活用に期待を寄せている。

kintoneを用いた新規カリキュラム開発のご支援

サイボウズでは、DX時代に求められるkintoneを用いたノーコード・ローコード開発を行うための「思考」や「スキル」を学習する新規カリキュラム開発をご支援しております。随時セミナーも実施しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。



サイボウズ株式会社担当
唐松 教夫

※ kintone(キントーン)とは?

開発の知識がなくても自社の業務に合わせたシステムをかんたんに作成できる、サイボウズのクラウドサービスです。業務アプリを直感的に作成でき、チーム内で共有して使えます。部署や立場、スキルにかかわらず誰でも気軽に使い始めることができ、業務アプリをノーコード・ローコードで作成することで、現場の人が主体的に業務改善を推進できます。

※ 製品紹介動画

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