ノーコード開発の体験を通じて最新トレンドを学ぶ機会を提供
社会に巣立つエンジニアの卵に有益なkintone講座開設のススメ
学校法人 河合塾学園 トライデントコンピュータ専門学校
【学校紹介】
ゲーム、CG 、Web、CAD、IT、情報、セキュリティ分野の業界で求められる人材を育成し、全国トップクラスの業界就職率を誇る河合塾グループの専門学校。
学校法人河合塾学園 トライデントコンピュータ専門学校(1984年に設立)では、卒業年次の学生が履修するクラウドサービスという科目のなかで、2016年よりサイボウズのkintoneをノーコード開発を学べる教材として採用し、自主学習中心の授業を経てチームごとに開発したアプリを発表する成果発表会を設けている。その取り組みについて、情報処理系 教員 滝川 陽一朗氏とともに、実際にkintoneの授業でkintoneのアプリ開発の成果発表を行った同校のサイバーセキュリティ学科4年の木下 務氏および島津 晃太氏にお話を伺った。
【課題】社会に巣立つ学生の視野を広げる科目となるクラウドサービス
大手予備校の河合塾で長年培ってきた教育ノウハウをベースに、実社会に役立つ能力の効率的な養成を行っている同校では、情報処理系の4つの学科とクリエイティブ系の4つの学科を展開しており、これまで延べ1万人を超える卒業生を社会に送り出している。企業に求められる即戦力のみならず、生涯にわたって企業や業界を牽引していけるマネージャーやリーダーの輩出を目指しており、産学協同で生み出すカリキュラムなどさまざまな取り組みを通じて、高度な職業人材育成に力を入れている。
なかでも、情報処理系の学科の1つであるサイバーセキュリティ学科は、プログラミングやアプリ開発の知識はもちろん、サイバーセキュリティ分野のスキルが学べることで、就職においても引き合いの強い技術を習得できる学科として人気を博している。また、専門学校での資格習得や技術サポートに加え、産業能率大学との連携によって、大学卒業資格も手にできる特色ある学科として、多くの学生が同学科に通っている。
そんな同校では、サイバーセキュリティ学科や高度情報学科などの情報処理系の学科において、2016年からクラウドサービスをカリキュラムに盛り込んでいる。同校教員の滝川氏は「トレンドの1つとなっているローコード・ノーコードツールでのアプリ開発経験を通じて、単にアプリ開発だけでなく、ビジネス的な視点による業務改善のアプローチを学べるよう、来年には社会に巣立つ卒業年次の学生に対して、視野を広げるための講座を開設しています」と説明する。
学校法人 河合塾学園 トライデントコンピュータ専門学校
情報処理系 教員
滝川 陽一朗氏
【選定】kintoneはユーザー目線で学べる教材としてエンジニア育成に役立つ
前述のクラウドサービスの科目における教材として2016年から採用されているのがkintoneだ。アプリ開発スキルや高度なIT知識を学んできた卒業年次の学生に向けて、あえてローコード・ノーコードツールに触れてもらうことで、一般的なエンジニアとは違う視点を獲得することを目指したもの。「サイボウズというブランド力はもちろん、国産のツールから日本のものづくりや設計思想を学べると考えたのです」と滝川氏は経緯を振り返る。
また業務のプラットフォームとして多くの企業で利用されている点もkintone採用の背景にある。「卒業した学生たちが勤務先の企業でkintoneを利用しているという話がよく出てきていました。社会に出た後も役立つだけでなく、アプリを利用するユーザー目線を学べる教材として最良だと感じています」と滝川氏。
さらに、自主学習しやすい環境が手に入る点もメリットの1つに挙げている。「アプリ開発では、英語のリファレンスに苦戦する学生も多くいます。一方、kintoneは日本語のリファレンスが用意され、ブログ記事も多く掲載されています。自主学習してもらう環境として、教員としてもありがたいツールだと認識しています」と滝川氏はkintone採用の意図について言及する。
今回kintoneアプリの成果発表会に臨んだサイバーセキュリティ学科学生の木下氏と島津氏は、kintone自体を詳しく知っていたわけではなかったという。「今回の授業でkintoneを初めて知りました」と語るのは木下氏だ。
島津氏は「CMを見て聞いたことがある程度で、プログラミングが分からなくても簡単にアプリが開発できるという程度のイメージでした。以前母が働いていた会社で使っていたらしく、広く使われているんだろうなという印象はありました」と最初の印象を語る。
サイバーセキュリティ学科 4年生
木下 務氏、島津 晃太氏
【効果】仕事の現場を知るための材料として、エンジニア育成に有益なkintone
自主学習で学びを深めるkintone、日本語でのリファレンスは重宝
90分1コマで週3回開催されるクラウドサービスの授業では、4〜5月にかけてkintoneの基本的な仕組みを学んだうえで、学生同士がチームを組んで自主学習しながらアプリの企画から開発を2ヶ月ほどかけて行い、最終的に成果発表会が開催される流れだ。具体的には3〜4名でチームを組み、テーマを設定してアプリ開発を進めていく。テーマについては、学生自身の身近なものからビジネスシーンを想定したものまでさまざまで、空き教室予約アプリ、入出庫アプリ、Discordを連携させた欠席管理アプリ、名刺管理アプリなど多岐にわたる。
「就職活動のタイミングと重なり、5月までは授業にあまり出られない学生もいるため、6月から本格的にチームを組んで開発を行っています。卒業年次の学生はそれまでの学年でAndroidアプリやWebアプリなど開発実習を重ねてきており、アプリ開発能力は十分に備わっています。そのため、短期間でも十分にkintoneアプリを開発できます」と滝川氏。
木下氏と島津氏がメンバーとして参加したチームが開発したのが、位置情報取得型の経費申請アプリだ。不正受給を防ぐために出張時の経費申請のタイミングでGPSの位置情報を取得できる。加えて、経費申請からワークフローによる承認機能まで、ビジネスの現場に即したアプリとしてサイボウズから高評価を得た。「昨年の先輩が取り組んだテーマは、学校内の課題を解決するものが多く、それとは異なるテーマにしたいと思いました。また、kintoneに企業内の課題を解決するアプリテンプレートがすでに豊富に用意されていましたが、あえてそれ以外の課題を見つけてテーマ設定を行うことがアプリ開発よりも一番時間がかかりました」と島津氏は振り返る。
「遅延証明書管理アプリ」発表の様子
アプリ開発での自主学習方法は、サイボウズが用意している動画や、公式ではない有志のブログサイトなどから学んでいったという。「JavaScriptに関しては、サイボウズ公式のドキュメントが綺麗に読みやすくまとめられていて参考になりました。他社のツールだと英語でのドキュメントが多く、翻訳しながら読み進めていく必要がありますが、kintoneは日本語で分かりやすいです」と木下氏。島津氏も「サイボウズ公式ドキュメントに必要なJavaScriptの記載があり、自分たちに適した形に書き換えて使うことで簡単に実装できました。コードで一から作り上げていく開発に比べるとかかる時間が少なく済み、特別に苦労することもありませんでした」と説明する。
内定先ではkintoneビジネスを展開、就職前に学べたことがアドバンテージの1つに
kintoneについては、当初はテンプレートありきで自由度の低い印象をもっていたと振り返る木下氏だが、ドラッグアンドドロップでフォーム作成できるなど、自由度の高さを実感したという。「おそらくプログラミング未経験の営業部門の方でも触れるのではないでしょうか。また、Webhookだけに限らず、自分で作成したJavaScriptがそのまま埋め込めるなど、手軽に外部との連携ができる点も優れたプラットフォームだと思います」と評価する。「通常はコードを書いてアプリ開発する場合、画面配置など工夫しないといけない部分がありますが、kintoneであれば簡単にフォームを作成でき、時間短縮に大きく貢献してくれます。その代わり、標準機能を超えた個別要求仕様にはカスタマイズ開発が必要で、ノーコードの得意・不得意分野を両方の側面から体感できました」と島津氏も感想を述べる。
「実は内定先の企業ではkintoneをソリューションとして提供している部門があり、研修中にkintoneに触れる機会があると聞いています。入社後はkintone認定アソシエイトといった資格取得が求められる場面もあると思います。現時点で使い方やアプリ開発の勘所を学べていることは、社会に出てからのアドバンテージにもなるのではないでしょうか」と木下氏は評価する。
島津氏は「内定した企業でkintoneの業務に関わるかどうかは現時点で未知数ですが、まだ後期に実施される卒業開発などが控えています。kintoneを使うことで卒業開発をさらに行いやすくしていくことも可能なので、引き続き使ってみたい」と語る。
特に企業との連携をカリキュラムに盛り込む同校では、2023年からエンジニアを含むサイボウズの社員が、kintone開発元としての立場で講評を行うべく、成果発表会に参加している。「開発元の企業に来ていただけると、学生も緊張感をもって取り組んでもらえますし、学生にとってもモチベーションを高めることにも繋がります。ビジネスならでの意見やアドバイスなどからも、学生の視野を広げていただけています。貴重な機会を得ることができて感謝しています」と滝川氏。
「入出庫アプリ」発表の様子
就職活動の武器としての広がりに期待
現在は、卒業年次の科目としてクラウドサービスの授業を行っており、来年度以降もkintoneを使った同様のカリキュラムが進められる予定だが、今後は1年生が技術全般を学ぶ授業の1教材としての活用も視野に入れていると言う。
「ノーコード開発の経験も、就職活動の中で自分の開発経験として面接で話題にできるように、もっと早い年次での活用も検討していきたい」と滝川氏。いずれはkintoneでの学びが就職活動における武器の1つにしていきたいと、最後に意欲的な姿勢を語っていただいた。
kintoneを用いた新規カリキュラム開発のご支援
サイボウズでは、DX時代に求められるkintoneを用いたノーコード・ローコード開発を行うための「思考」や「スキル」を学習する新規カリキュラム開発をご支援しております。随時セミナーも実施しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。
サイボウズ株式会社担当
唐松 教夫
※ kintone(キントーン)とは?
開発の知識がなくても自社の業務に合わせたシステムをかんたんに作成できる、サイボウズのクラウドサービスです。業務アプリを直感的に作成でき、チーム内で共有して使えます。部署や立場、スキルにかかわらず誰でも気軽に使い始めることができ、業務アプリをノーコード・ローコードで作成することで、現場の人が主体的に業務改善を推進できます。
※ 製品紹介動画
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