求職者支援におけるクラウドとデータベースの学習教材として最適

業界問わず求められるIT人材育成に貢献するkintone


ウェルコンサル株式会社

【業務内容】
介護現場で働く人材を育成する人材教育事業
求職者支援

医療、介護、健康への想いを共有するウェルグループの中核企業であるウェルコンサル株式会社では、人材教育事業において医療介護業界に限定されないIT人材育成を手掛けており、奈良県からの委託事業としてICT知識の技能・資格取得を目指した求職者支援を行っている。この求職者支援におけるカリキュラムの1つとしてkintoneが採用されているが、その経緯について副社長 杉田 珠希氏および同社が運営するウェルITスクール 講師 森岡 幸治氏 、外部講師として株式会社ノベルワークス 下村 佳穂氏、そして実際に職業訓練を受けた竹内 泰子氏にお話を伺った。

【課題】求職者支援に向けた学びの環境づくり、即戦力育成につながるツールを検討

介護保険の適用を受ける各種介護サービスの提供を中心とした、医療介護業界で事業を展開しているウェルコンサル株式会社。介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士・ケアマネジャー・ケアマネジャーなど介護現場で働く人材を育成する人材教育事業や、医療介護業界のIT環境整備を支援するITコンサルティング事業も積極的に展開している。

そんな同社が手掛ける事業の1つである人材教育は、単に医療介護の現場で活躍する介護のプロを育成するだけではない。当初は、海外人材も含めて介護職員の研修や資格取得に向けた講座などを手掛けていたが、企業におけるリカレント教育やリスキリングといった新たなスキル獲得が大きな潮流となるなか、今ではIT人材の育成にも力を注いでいる。「もともと医療介護業界向けのITコンサルティングを通じてIT人材の育成を行ってきましたが、コロナ禍においてIT人材のニーズがあらゆる業界で高まりました。そこで、これまで手掛けてきたITのノウハウを生かし、奈良県からの委託事業である求職者支援制度にて、IT人材育成に関連した講座を始めることにしたのです」と杉田氏は説明する。

副社長 杉田 珠希氏

同社が委託を受けている求職者支援では、パソコンの知識をベースに事務スキルを習得していくIT実践科という3ヶ月のカリキュラムがあり、そのなかでクラウドサービスやデータベースの基礎知識に関する講義も行っている。「このカリキュラムのなかでは、例えばデータベースであればMicrosoft AccessやオープンソースのMySQLなどを題材として擬似的に学びを提供してきましたが、ITの専門家ではない求職者にとって正直ハードルが高い。クラウドサービスについても、グループウェアなど色々触りながらカリキュラムを進めていますが、できれば初心者に分かりやすく一貫性を持って学べる環境を整備し、就職先で即戦力となりえる人材を養成したいと考えていたのです」と森岡氏は当時を振り返る。

【選定】現場が扱いやすいローコードツール、教材としても優れているkintone

エンジニアでなくとも現場で触れることができるノーコードツールのようなものを検討していた森岡氏。実は前職でSalesforceを扱った経験もあった森岡氏だが、日本人に親切なツールとは言えなかったという。「確かに多くの企業で利用されていますが、グローバル仕様の製品だけに、物事の考え方が日本人向きではないという感覚がありました。マニュアルの詳しい部分もほぼ英語ですし、自分で調べていくことも難しい。前職のころは、何かあればすぐお客さまに呼び出されることもしばしばで、現場にとって使いやすいツールにはなっていないというのが正直な感想だったのです」。

講師 森岡 幸治氏

そんなおり、同社が中心となって運営している、外国人の技術実習生受け入れを支援するウェルケア協同組合にて、業務基盤としてkintoneを活用していることを耳にした森岡氏。「ローコードツールとして現場が扱いやすいだけでなく、クラウドサービスやデータベースの基礎を学ぶ教材としても、kintoneであれば双方満たすことができる。新たな教材として最適だと考えたのです」。

また、具体的な機能や役割までは知らなくとも、テレビCMなどでkintoneの名前が世の中に出ていたことで、教材として受講者に受け入れられやすいと判断したという。「ITに詳しくない方には、聞いたことがあるツールのほうが確実に受け入れてもらいやすい。ローコードツールで言えば、Microsoft Power Appsなどもありますが、kintoneはネームバリューが高く、我々としても採用しやすかった」と森岡氏は評価する。

さらに、実際の職場をイメージしながらkintoneを題材にして学びにつなげられる講師も必要で、外部パートナーとのアライアンスが組みやすいことも評価の1つに挙げている。「受講生により分かり易く伝えていくために、専門の外部講師に頼る部分もあります。サイボウズに相談したところ、関西エリアで講師として派遣いただけるパートナーをご紹介いただけたのです。その点も大きかった」。

結果として、同社が手掛ける求職者支援に向けた講座内での教材の1つとして、kintoneを採用することになったのだ。

【効果】新たな職場への再就職を後押しすることに貢献したkintone

クラウドサービスやデータベースの教材としてkintoneを活用

kintoneを活用した初めての求職者支援に関する講座は、2022年3月末から3ヶ月間ほど開催され、トータル300時間の講義のなかで基本的なPCスキルを学びながら、その中の30時間ほどを使ってkintoneをベースにクラウドサービスやデータベースに関する講義が行われた。実際に講師として登壇した下村氏は「kintoneの基本的な機能を知ってもらったうえで、詳細な設定方法はもちろん、ディスカッションの機会を多く取り入れ、どんなシーンで活用できるのかを実践的に学んでもらいました。現場によくある具体的な課題に対して、kintoneアプリをどう作るのかを考えてもらいながら構築してもらったのです」と説明する。一例をあげると、部署間をまたいだ情報共有の仕組みをkintoneにて作成するといったものだ。

外部講師
株式会社ノベルワークス 下村 佳穂氏

未経験でも顧客管理や勤怠管理などのアプリを作成、大きな自信を得ることに

実際に講義を受けた竹内氏は「kintoneについてはCMなどでも見聞きしていましたが、何ができるサービスなのかよく知なかったのが正直なところです。それでも、基礎的なことを学びさえすれば問題なく利用することができました。プログラマーではない私でも顧客管理や勤怠管理といったアプリが作れたことはすごく自信につながりました」と評価する。Excelで管理していた情報をkintoneに読み込ませることでアプリを簡単に作成するなど、楽しく学ぶことができたという。

授業中の様子
竹内 泰子氏

求職者支援のカリキュラムはITパスポートなどの資格取得やkintoneをベースにした実践的なクラウドサービスを学んだことで、受講したメンバーのほとんどが再就職の機会を手にすることができたという。「実際の面接では、kintoneが扱えることに対して企業側から評価の声をいただいたことも。kintone自体が多くの企業に知られているため、きちんと成果として示すことができています」と竹内氏。クラウドサービスが大きな潮流となっているなかで、kintoneによる学びが再就職の一助になっていると評価する。kintoneに関しては、特に在宅勤務が増えるなかでコミュニケーションツールとして活用できる点が魅力的で、「データベースとしての活用も含め、新たな職場でも使えるところはたくさんありそうです。ぜひkintoneの導入を提案したいですね」と竹内氏は意欲的に語る。

オフィスツールに代わる新たな差別化要素としてkintoneが生かせる

パソコンを中心としたIT教育においては、WordやExcelなどのオフィスツールが基本的な教材となっており、なかでもExcelの比重が大きいという。「Excelで行ってきた業務の多くがkintoneで置き換えることができるため、Excelの時間を削ってkintoneの時間を増やすようなカリキュラムの変更が可能なはず。何十年も代わることのなかったオフィスツールとは異なる学びによって差別化も可能です。他の授業にも応用できると期待しています」と森岡氏。

ただし、求職者支援を手掛ける労働局や支援機構、ハローワークなど委託元に対してkintoneに関する理解を深めてもらう活動は必要だという。「クラウドサービスやデータベースの学びという意味で、kintoneを使うことはカリキュラムにとって非常に意味のあることだと思っています。労働局の方にもkintoneをベースにした学びのスタイルについてはしっかりと説明しその価値をご理解いただいた上で、多くの生徒を紹介いただけるようにアプローチしていきたい」と森岡氏。

実は奈良県では職業訓練校におけるITの取り組みが他県に比べて十分でない部分があり、訓練校そのものの数も少ない状況にある。「職業訓練におけるITの取り組みが遅れているぶん、十分な知識を持って教えられる環境が整っていないケースも。kintoneによって新たなITの環境を広げていけば、奈良県におけるIT教育の全体的な底上げにつなげていけるはずだと期待を寄せています」と森岡氏。

今回kintoneに関する講師を派遣した株式会社ノベルワークスでは、伴走しながらkintoneアプリの開発支援を手掛けるサービスや各種プラグインを提供しているが、中小企業のIT化支援に向けた勉強会なども顧客向けに行っており、今回のようなkintoneを活用した人材育成なども手掛けている。「講師という立場は初めての経験でしたが、kintoneを使って改善できることはもちろん、たとえkintoneが就職した先で利用されていなくても、この業務でkintoneを活用すれば業務の効率化に繋がるのでは、と業務改善を提案できるような“会社で愛される人”になってもらいたいという思いで講師を引き受けました」と下村氏は語る。今回の訓練のなかでは、前職での業務を振り返りつつ、kintone適用のイメージを膨らませながらアプリ作成をしていた竹内氏の姿が印象的だったと振り返る。

民間スクールやグローバル人材の育成含め、kintoneのビジネス的な広がりにも期待

現在は日本人を対象にITに関する人材育成を行っているが、日本で働く外国人就労者はますます増えてくるはずで、今後はグローバルな人材育成に向けた教育事業への展開も検討したいと意気込んでいる。「日本語教育や介護に関する教育などを行う研修センターはすでに海外に設置していますが、日本で活躍できる人材育成に向けてITの専門学校とのアライアンスも現在進めています。日本の企業で働くことを想定した学びを進めながら、日本で習得した知識を母国に戻って改めて活躍してもらえるよう人材を還流させていくような取り組みも進めていきたい。kintoneについては、現場で活躍できる人材育成に欠かせないツールになって欲しいですね」と杉田氏は期待を寄せている。

また、企業においてはリカレント教育やリスキリングといったキーワードでDX人材としての再教育需要が高まっており、kintoneだけのカリキュラムを目玉とした民間スクールの開講といった新たな事業展開も視野に入れている状況だ。「周辺システムと連携するためのkintoneプラグインも活用しながら、一般の方に向けたスクールへの展開を考えていきたい」と森岡氏。他にも、職業訓練としてkintoneの学びを経た生徒が、再就職先での業務改善にkintoneを活用するようになれば、企業におけるkintoneの教育支援や導入支援といったニーズも生まれてくる。そんな支援に向けたビジネス的な広がりにも期待していると今後について森岡氏に語っていただいた。

kintoneを用いた新規カリキュラム開発のご支援

サイボウズでは、DX時代に求められるkintoneを用いたノーコード・ローコード開発を行うための「思考」や「スキル」を学習する新規カリュキュラム開発をご支援しております。随時セミナーも実施しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。



サイボウズ株式会社担当
唐松 教夫

※ kintone(キントーン)とは?

開発の知識がなくても自社の業務に合わせたシステムをかんたんに作成できる、サイボウズのクラウドサービスです。業務アプリを直感的に作成でき、チーム内で共有して使えます。部署や立場、スキルにかかわらず誰でも気軽に使い始めることができ、業務アプリをノーコード・ローコードで作成することで、現場の人が主体的に業務改善を推進できます。

※ 製品紹介動画

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