ユーザー事例1
kintoneで始める「自力解決型」の業務改善
株式会社エイチーム
管理部 アシスタントマネージャー 矢島 卓 氏
株式会社エイチームは、スマートフォン向けゲーム事業を主力とする上場企業。グループ会社は5つあり、経理・ 総務・社内システムなどのバックオフィス業務を「エイチーム 管理部」が一手に担っている。
管理部の矢島氏のミッションは社内基幹システム業務の改善。同氏が業務改善において大切にしたのは「改善ツールを現場主導でつくること」だった。プログラマーである自分がツールを開発すると、改善数の上限が決まってしまうし、人が入れ替わった時にメンテナンスが難しい。現場が対応できない難しい部分だけは自分がサポートすることに決めてkintoneによる改善に乗り出した。
1つめの改善は、主力事業の拡大で爆発的に増えた「基幹システムにおけるデータ管理業務」の効率化。同社には複数の異なる基幹システムがあり、それらをつないでいたのは「Excelやcsvデータを無数にやりとりする手作業」だった。
これに対し、システムの中心にkintoneによるマスターデータを据え、いくつかのAPIを連携。結果としてデータの受け渡し作業が激減し、マスターデータの信頼性も向上。多くの業務が自動化された。
2つめの改善は、これまで問題視されることなく何年も使われてきた業務フローの効率化。同社の発注管理には複雑なExcel処理が工程ごとに5回発生していた。処理内容を書き出して初めて「業務の複雑さ」に気づいたという。これを「発注から納品管理までできるkintoneアプリ」に置き換えることで業務効率化が実現できる。
kintoneは「アプリ作成の敷居」が低い。矢島氏の発表に登場したkintoneアプリは全て現場のスタッフが自力で作成したという。同社では非エンジニアが困っていることを自分で解決できる手段を得たことで「それkintoneでできるじゃん!」という前向きなマインドが日常化。現場主導の改善が広がっている。
ユーザー事例 2
もしかしてkintoneをただの業務改善ツールだと思ってない?
株式会社仙拓
取締役副社長 兼 デザイナー 松元 拓也 氏
株式会社仙拓は、社長の佐藤氏と副社長でデザイナーの松元氏が「重度障害者である自分たちの体の状態に合った職場環境」を自分たちでつくろうと興した会社。ウェブサイトの企画・名刺やチラシの制作などを手がけている。
起業して3年目、佐藤社長が自著をサイボウズの青野社長に献本したことがきっかけでkintoneに出会う。最初はkintoneで何をして良いかわからなかったが、株式会社関西青山
敬三郎氏の助言を受けながらタイムカード・賃金台帳・給与明細などの社内業務を自動化。いとも簡単にデータベースを作れることに衝撃を受けた。
そんなおり、自治体から「名刺が入力ひとつで仕上がるシステム」があれば職員名刺を頼みたいという話があり、kintoneによる「名刺自動作成システム」の開発が始まった。試行錯誤の末に、kintoneの連携サービスであるフォームクリエーター・プリントクリエーター、Adobeの
Photoshopを組み合わせることで完成させた。
この「名刺自動作成システム」を見て社長の佐藤氏が思いついたのが「仙拓レンジャーズ」だった。これは、同システムで受注した名刺を、賃金が非常に少ない中で働いている「障がい者就労継続支援事業所
B型」の方々に制作・発送いただき、彼らの賃金アップを目指す取り組みである。
「名刺自動作成システム
仙拓レンジャーズ」を初めて導入したのは「常滑市社会福祉協議会
ワークセンターしんめい」だった。この取り組みはメディアで取材され、1ヶ月で100件を超える注文が舞い込み、同ワークセンターはこれを完璧に納品。B型作業所のスタッフは仕事の手応えと自信を得たという。
発表の最後に、松元氏が「kintoneはただの業務改善ツールにおさまる代物ではない。発想次第で新たな仕事を創出できる大きな可能性がある」と発言すると、場内は拍手の渦に包まれた。
ユーザー事例 3
kintoneで全国の店舗情報を1つに
株式会社ゲオホールディングス
分析部マスタ課 大西 智子 氏
株式会社ゲオホールディングスは複合メディアショップ「ゲオ」など1,686店舗を運営する会社。分析部の大西氏の発表は「店舗情報申請システム」による業務効率化について。
同社では全国を7つのエリアに分けて管理している。エリアには1人ずつ店舗情報(営業時間・定休日など)を管理する担当がおり、これまでは変更があるたびに本部にメールで申請書を提出していた。申請書を受取った本部スタッフは、申請内容がOKであればサーバーに登録し全国に公開する。
ここで問題となっていたのは、店舗情報が大量に届くため見落としが起こること、未処理の申請書がメールにうもれて探すのに時間がかかること、公開前の情報への問合せが案外多いこと、新規の申請書が定着しないことだった。
これを解決したのが「出店・閉店・リニューアル申請書アプリ」である。エリアスタッフはkintoneアプリで店舗情報を申請する。本部スタッフはkintoneで店舗情報を確認し、OKならそのままボタン一つでサーバーに登録する。サーバーからはDataSpider経由でkintone上にある店舗マスタに最新情報が同期される。
これで未処理の申請書はkintoneに一覧表示されるようになり”申請の見落とし”がゼロに。申請者は最新の入力フォームを利用するので古い申請書が使われる問題も解決。最新情報を閲覧したい者は各自kintone上で確認する方式にして本部スタッフへの問合せが不要になった。
この効果で労働時間も削減し、エリアスタッフは月に1人あたり200分減。本部スタッフは月に1人あたり400分減となった。さらに、店舗情報がからむ物件管理などの業務時間も削減。アプリで全国の店舗情報を1つに集約できたことは大きな成果をあげた。
入社後初めての仕事が「kintoneアプリ作り」だったという大西氏には、参加者から熱い拍手が送られた。
ユーザー事例 4
販売店向けコールセンターシステム開発
ヤマハ発動機株式会社
企画・財務本部 プロセス・IT部
IT技術戦略グループ 主務 原子 拓 氏
事例発表の最後はモーターサイクルのリーディングカンパニーであるヤマハ発動機の原子氏が登場。「国内向けコールセンターシステムの更新」を手掛けたエピソードを紹介した。
同社はBCP対策やコスト削減の観点から、これまで主力で行ってきたオンプレミスによるシステム構築からクラウド利用型に開発をシフトしているところだった。そのため、コールセンター用CTIサーバが保守切れする2016年の更新でオンプレミス式を廃止し「kintone + AWS+Biztel(クラウド型コールセンターシステム)」で構築することになった。
当初、kintoneではなく海外製の有名製品を使うように指示があったが同製品は非常に高額だったため、原子氏はkintoneを提案。1席あたり1.5万円/月という格安費用で新コールセンターを完成させた。
kintoneをコールセンターの顧客応対システムとしてカスタマイズする仕事はサイボウズオフィシャルパートナーに依頼。開発にかかった時間はわずか2時間✕4回だった。あまりの開発スピードに、最初に手掛けたセンターでは、電話インフラが追いつかなかったという。この経験は他のコールセンターの構築でも活きた。インフラが整備された上でのシステム開発は3ヶ月という超高速リリースを可能にした。早いぶん開発コストも安く、海外製品を利用した場合に比べてライセンス料は一桁も安く済んだという。
コールセンターをクラウド化したことによる効果は大きい。システムの保守切れごとに必要な数千万円の費用がなくなり、ブラウザ対応などのメンテナンスも不要になった。席数増減に柔軟に対応可能となり、将来への対策もできた。在宅勤務を導入して定年後のベテランスタッフを継続雇用することも可能である。原子氏は発表を「何よりもコールセンターのメンバーが喜んでくれていることが嬉しい」と締めくくった。
kintone hack
ここまでできるkintone カスタマイズ事例・プラグイン紹介
M-SOLUTIONS株式会社
取締役 CSO 植草 学 氏
M-SOLUTIONS株式会社はソフトバンク・テクノロジーグループのモバイル・ロボットアプリケーション開発企業。発表でまず紹介されたのは「kintone ✕ IoT」の事例。kintoneで「Pepper」やドローンを動かすことができる技術で、既に有名企業や建設・農業などの現場で活用されているという。
続いて同社の3つのSI事例が登場。1つめは「共創SI」。株式会社ジーベックテクノロジーの顧客・商談管理システムが紹介された。
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可能な限りお客様が開発を行い、そのサポートに徹することで開発コストを押さえつつノウハウも社内に蓄積いただけた例だという。
2つめは「継続開発」。住友不動産株式会社の「工事管理
業務効率化システム」が紹介された。本件は一気にシステムを完成させないことが鍵だった。業務フローの見える化・Excelワークフローをkitoneへ移行・地図API活用など、毎月少しづつ機能を追加。無理のないペースで開発を行いたい企業に好評の発注事例という。
3つめは「NotesDB」から自動でkintoneにデータを移行できる同社開発のデータ移行ツール「Smart
at migration」。これで株式会社資生堂の「研究センター内 ワークフロー」を移行したという。最後はkintone
hiveでオリジナルプラグインを無料配布する同社恒例のサプライズ打ち出し、拍手喝采のなか発表を終えた。
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デベロッパーコミュニティ参加の意義
株式会社コラボスタイル 河野 哲男 氏
株式会社コラボスタイルは「日本の企業文化に馴染むワークフロー」にこだわるワークフロー専業メーカー。同社の河野氏はkintone Café 名古屋支部を主催している。
kintone Caféとは、まだkintoneに触れたことの無い方からプロフェッショナルの方まで幅広い層が、楽しく学び・教え合うことで、kintoneの魅力や活用法を共有するための勉強会コミュニティ。これまでに4ヶ国29都道府県で132回開催されている。
河野氏は今回の登壇で「kintone Caféなどコミュニティに参加することの意義」を発表。まずコミュニティ参加には「知見が広がる・ビジネスが広がる・人脈が広がる」という3大メリットがあることを紹介した。
同氏によると、元気なコミュニティには「LOVE!」がある。そこに集う人はその製品が大好きで「その製品で何かしたい」とワクワクしている。そんな元気なコミュニティをメーカーは大切にしてくれる。だからコラボが広がる・起業メンバーが見つかる・イノベーションが生まれるなど、様々な良い変化が参加者にもたらされるのだという。発表の最後はもちろん「kintone Café 名古屋へ」というお誘いだった。
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kintoneで地図をhackする
株式会社サティライズ 山田 浩靖 氏
株式会社サティライズは、サイボウズ製品の提案から導入までをワンストップで行えるSI。同社の山田氏からはkintoneと地図サービスの連携する際に安価に導入できる地図APIが紹介された。
「kintoneと地図サービスの連携」をすると顧客の住所をもとに緯度・経度を取得し、顧客の所在地を地図上に表示したりGPSで取得した現在位置から周辺の顧客を地図上に表示することが可能になる。
Web上の地図サービスと言えばGoogleマップが真っ先に思い浮かぶが、Googleマップを社内向けのアプリに埋め込んだ場合「法人向けのPremierライセンス」が必要となり、案外費用がかかる。
このようなケースではゼンリンの地図サービス「いつもNAVI」がおすすめと山田氏は語る。「kintone向け拠点案内サービスAPI」という「kintone利用に限定したプラン」をゼンリン社が提供しているのだ。これならば10,000PVまでは月額10,000円とリーズナブル。
山田氏は、地図同様にAPI技術を使うことでkintoneは郵便番号検索サービス・Googleカレンダー・Twitterなどとも連携でき大変便利と発表を締めくくった。
こんなときどうする?kintoneの悩みをHackで解決
株式会社ジョイゾー
代表取締役社長 四宮 靖隆 氏
株式会社ジョイゾーはkintoneを専業にしているSI。同社の四宮氏は「ミスターキントーン」の異名を持つほどkintoneに詳しい。発表では知る人ぞ知る便利な「kintoneの基本機能」が3つ紹介された。
1つめは「文字列結合」。kintoneでは「カレンダーにタイトルと場所など複数の情報を登録したい」と思っても表示フィールドを一つしか選べない。こんな時はカレンダーの「タイトル」設定時に「自動計算」を併用しよう。表示させたい2つのフィールドコードを「&」でつなぐのだ。これで2情報を同時に表示できる。
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2つめはセミナー参加者数を自動カウントできる裏技。kintoneではセミナーに「誰が来るか」は設定できても「何人くるか」は手数えとなる。この時「参加」という数字フィールドを追加しよう。初期値を1としておき、自動計算フィールドに「参加者数」と入れてSUM関数を用いる。これで参加者数を合計できる。
3つめは「タスク管理」。kintoneではスレッド機能でコミュニケーションができるが、スレッドであるがゆえに指示も流れていく。こんな時は「スレッドのアクション機能」で会話をタスク化しよう。
「ジョイゾーブログ」ではkintoneのお悩みを解決できる情報を発信している。困ったときは覗いてほしいと四宮氏は語った。
kintone hive nagoya vol.1 にご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
また名古屋でお会いしましょう!