ユーザー事例1

業務の足場をkintoneで固める

〜 ガテン系総務の挑戦 〜

株式会社ダイワ 総務部 人財開発課 主任

髙田 直哉 氏

最初に登壇したのが、ゼネコンやハウスメーカーに対して建設用の足場を組立施工付きでリースしている株式会社ダイワ 人財開発課の髙田 直哉氏だ。就業者数が減少している建設業界にあって、採用活動に注力している髙田氏は「きつい、きたない、危険という3Kと呼ばれる建設業界の現場を、「kintone」で「解決」「改善」(3K)していきたい」と力説する。具体的には、新築やリフォームの現場を調査するワーママの業務改善に活用している事例を紹介。事前の訪問ルート決定や現場写真の登録、レポート印刷などをkintoneで行うことで、出社時間や写真登録にかかる時間を削減することに成功。この仕組みを施工現場にも応用し、1チームあたり1日30分の拘束時間を削減し、100チームトータルで170時間の省力化を達成したと力説する。

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そんな効果を今は実感できている現場であっても、導入当初はよくわからない、面倒くさいという保守派からの反発もあったという。そこで、保守派の人と一緒にアプリを作っていきながら、慰労会の申請書など業務以外のシーンでアプリを使ってもらうことで現場に慣れてもらうように工夫したと髙田氏。「とにかく使ってもらうことでkintoneのファンを増やしていくことが重要」と語る。
 総務という立場で業務改善しても褒められる機会が少ないのが実態ではあるものの、ユーザーやSIerなどが集まるkintone Café(キントーン カフェ:有志の勉強会)の開催や展示会での業務改善セミナーなどへの登壇を通じて、kintoneでできる業務改善の輪を広げていきたいと髙田氏は熱く語った。最後に、過去のkintone hiveレポートで "hive(ハイブ)で配布(はいふ)"していたことにちなんで、現場で働く美形男、通称“ビケメン”スタンプを配布するプレゼントを発表し、会場からは大きな拍手が沸き上がった。

ユーザー事例2

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「情報集約」と「Excelの置き換え」だけじゃないkintoneのちから!

ニシム電子工業株式会社

営業統括本部営業統括部サービス管理Gr

原田 陽介

次に登壇したのが、九州電力のグループ会社で電力通信設備の工事や保守、監視を行っているニシム電子工業株式会社の原田 陽介氏。営業部門の業務改善につながったkintone活用のノウハウを発表した。導入前は、案件管理、提出物チェック、印刷用の帳票作成はすべてExcelが用いられており、見積や案件情報が共有できないばかりか、拠点ごとに仕事のやり方がバラバラだったと当時の課題を吐露する。「これらの情報をkintoneで集約し、案件情報の共有やチェック方法の統一を行った」という。実際には、顧客情報に対して複数の案件が紐づく形で管理し、提出物のチェック方法は無料で公開されている条件書式プラグインを活用、件名一覧からボタン1つで進捗管理を呼び出せるようJavaScriptにてカスタマイズしている。

帳票については、日本オプロ株式会社が提供するクラウドサービスを活用し、簡単にExcel帳票が出せるように工夫した。
 導入する際、現場からは事前説明会の段階で多くの反発があったが、“カッコいい常務”からのトップダウンで展開を推し進めつつ、「システムが新しくなると伝えるのではなく、仕事のやり方自体を変えると周知すること」がうまく導入できたポイントだったと振り返る。また大きかったのは、営業事務などを担当する女性といった、利用者自身にアプリを作成してもらったこと。現場の末端から業務全体を変えていけるという意識の変化と成長があったと常務からも評価され、まさに現場から改善できることがkintoneの良さだと原田氏は実感している。最後に、kintoneについて「利用者自身が主役となるもので、コミュニケーションを促進させ、継続的かつユーザーが主体的にPDCAを回していけるもの」と総括し、会場にいる方からも事例を紹介して欲しいとの願いで締めくくった。

ユーザー事例3

kintoneは会社のお医者さん

〜『見える化』からのCapDo〜

株式会社キャップドゥ

代表取締役 森田 晃貴 氏

続いては、2016年設立の株式会社キャップドゥ代表取締役社長の森田 晃貴氏が登壇し、会社の業務インフラをkintoneで構築した活用事例を紹介した。業務改善のコンサルティングを中心にクラウドインテグレーション事業やWebサイト制作などを手掛けている森田氏だが、前職でSalesforceを扱っていた経験から、クラウドによってリアルタイムな業務の見える化が重要だと考えていたという。そこで、顧客管理、案件管理、活動管理をシステム化するべく、kintoneを自社のインフラとして採用することに。“会社のお医者さん”というタイトルの意図については、「会社の健康状態を常に見える化してくれて、そこからチェック、アクション、プラン、ドゥの改善サイクルが実行できる。その意味で、kintoneは会社にとって医者のような存在」という森田氏の考えを反映したものだ。

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同社では、kintoneを業務システムの中心において構築しているが、アプリ作成に関する2つのポイントを披露した。1つ目が「プラグインを活用したkintoneアプリのカスタマイズ」、2つ目が「他のクラウドサービスとkintoneとのシステム連携」だ。同社ではクラウド型名刺管理サービス「BizCompass」やオンラインストレージサービス「Box」、GoogleMapなどと連携させながらkintoneを活用しており、「メインのアプリはすべて顧客に紐づいたものとなるため、顧客管理アプリの画面から呼び出してアクションできるようにしています」とその工夫を語る。
 Salesforceに慣れていた森田氏がkintoneを採用した理由については、第一に同社が描く業務インフラを構築する際の「安さ」。2つ目が、機能拡張のプラグインや他システムとの連携によって、kintoneでやりたいことが実現できたこと。そして3つ目が、カスタマイズが簡単なことだ。

「“kintone先生”を活用することで、過去はもちろん、現在から未来まで見える化でき、改善スピードのアップが可能になった」と力説する。最後にkintoneは、「管理の先の新たな気付きを共有でき、お客様に対するおもてなしを最大化できるツール」だと締めくくった。

ユーザー事例 4

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e-PORT2.0(北九州市IoT推進ラボ)を支える情報共有基盤“kintone”

公益財団法人九州ヒューマンメディア創造センター

総務企画部専任主幹研究員

糸川 郁己氏

今度は、北九州市の外郭団体で地域のICT利活用を推進している公益財団法人 九州ヒューマンメディア創造センターの糸川 郁己氏が登壇した。北九州の地に情報産業の集積拠点を設置する構想として15年前から活動を続ける「北九州e-PORT構想」は、現在は地域の課題を解決すべく、技術を持つ企業やe-PORTパートナーなど産学官民金とともに事業化に結び付けていく「e-PORT2.0」として構想が再スタート。経産省と総務省が進めている“IoT推進ラボ”に認定されるなど、その活動が注目されているところだ。

e-PORT2.0を推進する糸川氏だが、その組織を運営していくうえでの課題が顕在化しているという。打ち合わせはもちろん、事業コーディネートを行う機会が多く、人的リソースそのものが不足しがち。しかも、出向してきた職員が多く、急な異動のリスクがあり、短期間での業務引継ぎが難しい状況が続いていたという。

「業務を引き継ぐためには、経緯を含めた情報の蓄積が必要でした。そこで役立てているのがkintoneです」。情報の蓄積だけでなく、“地域課題は事務所ではなくまちの中で起きている”ため、いつでもアクセスできる基盤としてkintoneが生かされている。実際の活用場面では、事業者情報から過去の履歴が追跡できるように情報が整理されており、新しい担当者が来た時でも引き継ぎがスムーズに行えるという。

既存のファイルサーバーとの住み分けや入力されない、見られないといった日々の活用については課題として残ってはいるものの、必要なものをkintoneへ徐々に移行し、通知機能によって更新されたことが把握できるようにするなど、さまざまな対策がとられている。

入力規則を定めずに見て習ってもらうといった運用ルールの工夫も日々の活動の中で実施している状況だ。導入したことで、機動性の向上や成果の見える化や、簡単に扱える情報の種類が増やせるようになったことなど、さまざまな効果を実感しているという。今後は日々の運用を改善していきながら、入力の自動化などさらにkintoneを積極的に活用していきたいと語った。

ユーザー事例5

井上総合印刷株式会社

井上 憲一郎

続いて登壇したのは、福岡県にある印刷会社の三代目としてkintoneを導入した井上 憲一郎氏だ。そんな井上氏が披露したのは、日々の運用の中でkintoneをどう生かしているのかについて。もともとkintoneを導入した経緯は「システムがあれば業務改善につながると思っていましたが、これまではシステム開発がうまくいかなかったから」と当時を振り返る。そんな課題を抱えるなかで、kintoneのディベロッパーである株式会社ソニックガーデンが記した書籍を読んで感銘を受け、結果としてソニックガーデンとともにシステム開発をスタートさせたという。「kintoneのメリットは、使いながら作ることができるということ。その結果、手書きが減ってデータが再利用できるようになりました」と語る。

システム活用のポイントは、まずは社長自身が業務を洗い出し、付箋に誰がどんな業務をどれくらいの時間と手間をかけてやっているのかを書き出したことだという。

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「ノートとボールペンと付箋と利用し、アナログな方法で書き出すという事前準備の重要性をソニックガーデンの担当者が教えてくれた」と語る。なかなか導入に踏み切れない企業でも、まずは何かしら踏み出すことで業務改善につなげることができるはずと力説する。
 そもそも井上氏が心掛けているのは、常に働きやすい環境を作っていくということ。「当社で働いてくれているのはすべて女性であり、業界未経験の人が多いというのが特徴。働きやすい環境を作るためには、今までと同じことをやっていては実現できない」。環境づくりには、kintoneで情報共有するだけでなく、カレンダーやチャット、オンラインストレージなどさまざまなツールを駆使する必要があるという。「うちの会社で働けてよかったねと地域の皆さんに言っていただけるような会社を目指している」と井上氏。それを支えるためにもkintoneをはじめとしたICTを積極的に活用していきたいと語った。

kintone hack

kintoneトレンドワードと実践事例

株式会社ジョイゾー

山下 竜 氏

日本初の定額来店型システム開発「システム39」を手掛ける株式会社ジョイゾーの山下竜氏が登壇。さまざまな開発案件に携わるなかで話題となっているkintoneにまつわるトレンドワードを披露した。「プラグインやIoTなどさまざまなキーワードが出てきますが、その背景にはkintoneで共有・蓄積されたデータの肥大化や用途の多様化があり、情報検索や入力の効率化等のニーズが強くある」と分析。

その対応策として行ってきた開発例として、プロセス管理におけるステータス一括変更やモバイル・多言語対応を含めた地図連携、UI向上によってモバイルでの使い勝手に配慮したタイマー記録、プロジェクト管理ツールとの連携による課題の共有、

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kintoneアカウントを持っていない、例えばイベント参加者等への情報共有を円滑に行うためのメール配信や、Developers Summitにて披露したごみ箱IoTなど、具体的な事例を紹介した山下氏。「標準機能でできればいいが、どうしても必要な時はカスタマイズによって対応できる」と説いた。


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kintone導入で激変すること(人事編)

社会保険労務士事務所SUGOUDE

代表 ITウィザード社労士

香原 慎一郎 氏

過去に登壇してきたディベロッパーとは異色の、社会保険労務士事務所SUGOUDEの社会保険労務士・香原 慎一郎氏が登場。“ITウィザード社労士”という肩書で活動する香原氏は、「普段からkintoneをこよなく愛し、業務効率化を最大限にアップするために人事コンサルティングを行っています。通常の社会保険手続きなどはまったく行っていません」と自己紹介した。働き方を変えることが最大の労務管理につながると考えている香原氏は、手続き業務よりも会社がうまく回るための働きかけを行う活動を続けているが、今回は人事面から見たkintone活用について具体的な事例を語った。

多くの企業では、人を雇うために必要な労働者名簿や雇用契約書などの書類がWordかExcelで作られており、この場面でkintoneを使うべきだと香原氏。「大手の人事システムではコストが高く汎用性に欠ける面も。そうであればkintoneと帳票出力サービスのプリントクリエイターを利用することで立派なシステムができる。kintoneなら、パートの方の更新履歴なども管理できる」と力説した。最後に、雇用契約書にQRコードを入れておき、社長からのメッセージへアクセスできるといった工夫も、現場ならではのアイデアとして披露した。


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kintone☓MESHでハウス農家さん向け温度・湿度記録システム作ったよ!

株式会社AISIC

久米 純矢 氏

中小企業のIT化支援を積極的に行っている株式会社AISICの代表取締役にしてkintoneエバンジェリストの久米 純矢氏が登壇し、kintoneとMESHで作った温度・湿度記録システムについて紹介した。「ハウス農家にとってハウス内の温度管理はとても重要だが、輸送中の温度・湿度の変化が把握できず、リアルタイムでのチェックも難しい」とハウス農家の実情を語る。そこで久米氏が構築したのが、SONYが提供している温度・湿度センサーの「MESH」タグを利用し、ハウスの中や輸送トラックにMESHとスマートフォンを設置、温度・湿度を測定してkintoneにアップする仕組みだ。温度変化があれば、スマートフォンにkintoneから通知が届く仕組みとなっている。

「ネットワーク構築を意識せず構築でき、公開されているAPIを使ってkintoneにアクセスできるようになっている。通知機能も充実しているのが、まさにkintoneの強み」と久米氏は強調した。


キントーンに物申す!

アールスリーインスティテュート

Chief Innovation Officer

金春 利幸

最後に登壇したのが、2016年11月に開催されたkintone hive tokyoにてkintone hackのチャンピオンに輝いたアールスリーインスティテュートの金春 利幸氏だ。kintoneエバンジェリストである金春氏だけに、多くの人にkintoneを知ってもらう活動を行っているが、「いいところはもちろん多いが、kintoneはまだ成長できるプロダクト。どう成長に貢献できるのかを考えることもディベロッパーの役目」と説く。そこで微妙なところも積極的に発表し、ディベロッパーとしてカバーしていきたいと力説する。具体的には「コメント欄が邪魔」「必須の表示がわかりにくい」「下にスクロールしていくとどのアプリを開いているのか迷子になる」「全角数字では入力できずに拒否される」という、kintoneにおいて改善すべき4つの微妙なところを指摘した。

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そこで「ないものは作る、それがエンジニア」と前置きしたうえで、同社が提供する、kintoneを便利にするプラットフォーム「gusuku」において“孫の手プラグイン”を開発。前述した微妙な部分を有効にするか否かを設定するだけで解決可能な環境を披露した金春氏。最後に、gusukuユーザーであれば無料で配布すると発表、会場からの拍手で幕を閉じた。

kintone hive fukuoka vol.1 にご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

また福岡でお会いしましょう!

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