那覇市消防局は70台以上の消防車両を擁し、那覇市内のさまざまな災害に対応している。
全国にも有数の特殊車両を運用し、大規模災害時には緊急消防援助隊沖縄県大隊の一員として県外対応した実績も持つ。
消防車両は毎日2回、車両とそれに付帯する艤装(ぎそう)が正常に作動するか、運行前点検を実施し、運行後には事案ごとに使用目的や走行距離等を記録していく。また、点検時や運用時に車両の不具合があった場合、担当部署へ修理依頼を行うが、依頼するためには修理依頼書と説明資料を作成し、所属長の決裁を受けて発送する必要があった。
キントーン導入前には、毎日紙で運行記録をメモし、事務所に持ち帰りシステムに転記するという業務を年間15,000回近く行っていました。また修理依頼書を作成するにも、現状説明用の写真を業務用カメラで撮影し、それをもとに修理依頼書と説明資料作成するため事務所に戻らなければならず、車庫と事務所の往復も負担に感じていました。(導入担当:友寄氏)
こういった課題は、那覇市のDX推進事業による各課の業務課題ヒアリングにより明らかとなり、消防局ではキントーンでの業務改善のマッチングがなされた。
この「運行管理」・「車両管理」・「修理依頼」にキントーンを導入したことで、現場ではモバイル端末で点検・記録を行うようになり、事務所に戻る・転記するといった業務を削減。また、事務所に戻らず、モバイル端末で必要項目を入力すると修理依頼書と説明資料が完成し、担当部署へ速やかに状況報告が出来るとともに、その後のやり取りはコメント機能で実装。この結果、24時間ごとに職員が入れ替わる時の課題だった申し送り時間も圧縮することができ、災害対応訓練等の「本来の業務」に充てる時間を創出できるようになった。
※運行記録はカスタマイズにより車両を選択するだけで、前回の走行距離を表示できるようにもしている。
車両や庁舎に係る不具合等の経過、支出の記録は、現場から上がってくる修理依頼書(紙)をもとに各年度担当者の裁量でExcel管理されていた。
しかし、その記録は「日付」「修理金額」「場所」くらいしか残されておらず、データベースとしては不十分であり、例えば同型のエアコンが故障した場合には、前回の不具合内容や費用、施工事業者等を過去の紙ファイルから大捜索するという手間が発生していた。
この業務もキントーンに置き換えることで、現場から上がってきた修理依頼書をもとに事案詳細(故障場所の写真、不具合な内容等)を管理できるようにし、アプリを見るだけで、その車両や設備が過去にどんな修理や点検を受けたのか一目で分かるように実装。
導入担当の友寄氏は導入時の苦労を次のように振り返る。
はじめてキントーンの説明を聞いた時、ノーコード、ローコードで業務用アプリを開発できるということに、とてもワクワクしました!試験運用開始までの期間も、利便性を感じてもらえれば、みんなすぐ賛同してくれると考えていました。しかし、試験運用前に各課へ説明に回ると、必ずしもみんなが興味を持ってくれるわけではないことに気が付きました。今、振り返ると当たり前なのですが、災害現場の対応や各々の担当業務がある中で、新しいツールに目を向ける時間は職員にはほとんどありません。
担当者とその他職員の温度差はどうしても発生する。
そこで友寄氏は、キントーンを「ただの便利なツール」にはない「親しみ」を持ってもらえるツールにする方法を検討。
これまでテンプレートを使用していたアイコンに那覇市消防局公式キャラクターの「はりゅうくん」を採用し、アイコンのイラスト作成も現場職員が手掛けてもらうことに。
また、職員からの提案も募集し、その声をアプリに反映することで、提案者自らが業務効率化に参加できることを実感してもらえるようにもしていった。
さらに、各課のデジタル化推進員にアプリ追加の権限を付与。これにより各課の業務課題を自ら解決することができるというワクワクを醸成し、「みんなのキントーン」であることを伝えていった。
最近では、他課の職員から「この課題、キントーンで解決できないか」「アプリの作り方教えて」と相談を受けるようになり、少しずつではありますが、当初より多くの職員に興味を持ってもらえていると実感します。
今後は、アプリ開発が各課のデジタル化推進員のもと実施され、那覇市消防局の業務効率化が加速するよう継続して取り組んでいく予定となっている。
株式会社システック沖縄