2024年11月26日火曜日、サイボウズ松山オフィス(愛媛県)にて、愛媛地区自治体におけるkintone活用についてのリアル座談会が、ZOOMとのハイブリッド形式で開催されました!
このイベントでは、先進的にkintoneを活用している愛媛県内の4つの自治体職員が登壇し、庁内業務における具体的な活用事例を発表いただきました。リアル会場には13名、Webには56名の総勢69名が参加し、50以上の質問が飛び交う大盛況なイベントとなりました。
この記事では、本イベントの当日の様子や内容についてお届けします。kintoneの導入を検討している自治体や、導入したものの活用に悩んでいる自治体の皆様にとって、大変参考になる内容が満載ですので、是非ご一読ください!
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イベントは4セッションで構成され、第1セッションにて弊社からkintone製品の概要を説明した後、第2セッションでは実際にkintoneを導入している下記4つの自治体の職員の方々にプレゼンテーションを行っていただきました。それぞれの発表内容について簡単にご紹介します。
ご登壇者
愛媛県庁 梅木様(企画振興部 デジタル戦略局 スマート行政推進課 働き方改革G)
今治市 岡本様(総合政策部 企画防災政策局 未来デジタル課)
松前町 相原様(総務部財政課 統計電算係)
西予市 上甲様(政策企画部 デジタル推進課(併)教育部 学校教育課)
(イベントにご登壇いただいた皆様。左から 梅木様、岡本様、相原様、上甲様。)
■ 愛媛県庁 梅木様
愛媛県では2022年度(R4年度)にkintoneを導入し、当初は90ライセンス程度でしたが2024年度(R4年度)現在は400ライセンス使用しており、今後も導入を進めていく予定です。利用形態としてはkintoneインターネット版をローカルブレイクアウト方式で利用しています。
⋄ 愛媛県においてkintoneを導入した理由
愛媛県ではデータベースを一元管理し、情報共有を促進することでデータやノウハウの散逸を防ぎたいと考えていました。kintoneを導入することで、所属をまたぐ業務でも最新情報がkintone上に集約され、組織全体の成果を最大化できるのではないかと思いました。また、kintoneのドラッグ&ドロップ機能により、誰でも簡単にシステムを作成・改修できる点も魅力でした。
⋄ 具体的な活用事例:予算管理アプリ
予算を扱うシステムとして、愛媛県では既に財務会計システムという基幹システムがありますが、このシステムでは予算事項ごとの管理ができませんでした。そのため、これまでは庶務係長が課内予算の管理をExcelで行っていました。しかし、この方法では庶務係長の負担が大きく、担当者が不在や異動の際にExcelファイルの所在が分からなくなるトラブルも発生していました。
また、予算執行状況の確認に関しても、関数を組んで対応していましたが、引継ぎの際に関数設定が壊れてしまうことがあり、取り扱いや逐次確認が困難でした。
これらの課題を解決するために、スマート行政推進課と庶務担当者が協力して作成したのが、この予算管理アプリです。
このアプリによって、これまで庶務係長がまとめて入力していた支払い関係の情報を、各支払い担当者が直接入力することが可能となり、庶務係長への負担集中が解消されました。また、kintoneで一元管理しているので、誰でも最新の情報を確認することができ、引継ぎ等の管理の手間も無くなりました。さらに支払い情報は自動集計してくれるので、予算の執行状況を一目で確認することができるようになりました。
(愛媛県庁 梅木様)
このアプリによって、これまで庶務係長がまとめて入力していた支払い関係の情報を、各支払い担当者が直接入力することが可能となり、庶務係長への負担集中が解消されました。また、kintoneで一元管理しているので、誰でも最新の情報を確認することができ、引継ぎ等の管理の手間も無くなりました。さらに支払い情報は自動集計してくれるので、予算の執行状況を一目で確認することができるようになりました。
■ 今治市 岡本様
今治市では、2020年(R2年)10月にkintoneを導入し、一部の職員を対象に実証的に利用を開始しました。当初は30ライセンスからスタートし、利用希望者が増えたため、現在は100ライセンスまで拡大しています。毎年度初級者研修と中級者研修を実施し、興味のある職員にkintoneを触ってもらうことで、利用者を増やしています。
⋄ 今治市における活用事例
当市におけるkintoneの活用事例ですが、代表的なものとして「アットホーム空き家バンク」(国土交通省推奨の空き家・空き地情報集約サイト。アットホーム株式会社が運営。)との連携システムがあります。これは当市で管理している空き家情報が、kintoneAPI連携によって、リアルタイムでアットホームの空き家バンクサイトに掲載されるというものです。
【参考】愛媛県 行革甲子園 https://g-koushien.com/ に上記事例の詳細が掲載されています
しかしこちらの事例はかなり高度なカスタマイズを行っておりますので、専門知識のない一般の市役所職員にとってはかなりハードルが高いものとなります。今治市では、もっと気軽に、Excelやメールの延長のように使っている事例の方が多いです。例えば、Q&A集、公用車の運転日誌、セミナーや研修の受付簿、自治会からの補助金申請受付など、シンプルで実用的なアプリが多く利用されています。
(今治市 岡本様)
⋄ まずは簡単なアプリから始める
こちらは私の主観ではございますが、すぐにkintoneを取り入れやすい業務としては①データの集約やとりまとめ系のもの、②内部的な事務、③QA集や申込管理等シンプルなもの、が向いている思います。ノーコードツールは誰でも使えると言いますが、実際当市でアプリ作成までできる職員は現在おそらく全職員の5%もいません。なので、高度な作りこみを行うよりもまずはkintoneを取り入れやすい分野で簡単でシンプルなアプリを増やし、地道にkintoneを使える職員を増やしていくことを目指しています。
■ 松前町 相原様
⋄ kintoneの導入した経緯
松前町では2020年(R2年)に若手職員による「松前町政策研究プロジェクトチーム」が設置され、町の業務を効率化する為の課題の洗い出しが行われました。その中で各業務に共通する4つの課題(①多くが紙ベース、②データ入力等定例的な業務の比重が高い、③住民を待たせる時間が多い、④Excelによる管理業務が多い)が浮かびあがり、これらを解決する手段としてノーコードツールであるkintoneを導入すべきという結論が出されました。
そこで2021年(R3年)8月から実証実験的に5ライセンス(+プラグイン)を導入し、一定の効果が確認できたため、2022年度(R4年度)からライセンス数を増やし、本格運用しているところです。
(松前町 相原様)
⋄ 松前町における活用事例
現在利活用しているものとして、「まっさき健康ポイント管理」、「マイナンバーカード予約管理」、「カーブミラー点検管理」などのkintoneアプリシステムがあります。主なプラグインとしては、トヨクモ株式会社のFormBridgeやkViewer、PrintCreatorなどを使用しています。
「まっさき健康ポイント管理」システムは、住民の「健康ポイント」参加申込情報とポイント取得情報を管理し、ポイントに応じて商品券を付与する業務に使用しております。このアプリは当町の職員が一から作りあげました。「マイナンバーカード予約管理」システムでは住民がフォームから予約しその情報がkintoneに自動連携され、帳票への出力も自動化しているので、大幅な業務時間の削減を実現できました(Before 年間198時間 → After 年間1時間)。
「カーブミラー点検管理」アプリでは、町内約1200箇所あるカーブミラーの点検情報を管理しております。カーブミラーの情報管理と点検を業者に委託する場合約500万円の費用がかかる見込みだったのですが、このアプリを職員が作り、現場での点検も職員が交代で行うことによって委託費用が不要になりました。
⋄ 今後の活用予定
今後は公用車の運行記録や、避難所の運営・支援物資の管理、認知症サポーター運営管理、イベント申込情報管理等の業務にkintoneを活用し、職員の利用頻度を上げていこうと思います。
■ 西予市 上甲様
(西予市 上甲様)
西予市では元々2008年(H20年)からサイボウズ社のパッケージ版Garoonを利用しておりました。kintoneは2018年(H30年)から一部の部署で導入し、2024年(R6年)現在はクラウド版Garoonを約800人、kintoneを約770人で利用しています。
⋄ kintoneの導入した経緯
2018年(H30年)に情シス部門でkintoneを導入したのですが、きっかけは市保有の光ケーブルの維持管理業務でした。 当時、市内にある複数の光ケーブルについて保守業者とのやりとりをメールで行っており、最新の進捗状況が分からない、データが分散し探すのが大変等といった問題を抱えておりました。この業務にkintoneを導入したことで、これらの問題が大きく改善されました。
その後、表計算ソフトで管理していた情報システム契約台帳や、コンタクトの管理などもkintoneに置き換えていきました。このように徐々にアプリを増やしていき、他の部門への展開も進めていきました。新たにトヨクモ株式会社のFormBridgeやkViewerを導入し、業務進捗管理や空き家台帳の整備などのアプリが作成されました。
⋄ kintoneの全職員導入
他部門への展開を加速するため、2023年(R5年)10月から情報システム相談会を実施しました。そこでは多くの部署から様々な相談が寄せられました。その相談内容を検討する中で、kintoneを全職員に導入することで、より一層の業務改革・改善が可能になるのではないか、という結論になりました。併せて、DXロードマップを新たに作成し、kintoneの全職員導入の必要性を内外に説明しました。そして今年度(R6年度)、無事に全職員導入を実現しました。
ロードマップでは、身近な業務のDX化をクラウドで実現することを目指すべき姿とし、Garoon、kintone、M365を中心にシステムを統合し、アジャイルな行政DXの実現を目指しております。
⋄ 庁内展開に向けた工夫
庁内展開向けて、職員向けのkintone説明会・研修会を随時実施しております。こちらではログイン方法等の基本的な事項からアプリの作成方法について説明しています。また、引き続き情報システム相談会を実施し、担当部署と一緒に考えながら伴走型でシステムを構築しています。
さらに、全職員に関わる業務を優先的にアプリ化し、職員がkintoneを使わざるを得ない環境を整えています。全庁的なアプリをまとめた専用のスペースも作成しました。現在運用されているアプリとしては、出張命令アプリ、簡易決裁システム、行政経営システム(行政評価システム)、電子申請管理アプリなどがあります。
こうした取り組みを経て、2024年(R6年)11月現在、全庁で使用するもの、各部署で使用しているものを合わせて197個のアプリが稼働しており、職員のkintoneアクセス率は96.5%となっています。
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第3セッションの座談会では、質問受付アプリにて受け付けた参加者からの質問に答えていく形で行われました。
■ 質疑応答
Q. 今治市様へ質問です。kintoneを取り入れやすい業務についていくつか挙げていただきましたが、それらを各課に展開、浸透させるためにどのようなことに取り組まれたか教えて頂きたいです。
【今治市 岡本様】
各課へ展開、浸透させる取組みとしましては、まずはkintoneを使える職員を増やす為に、毎年初級者向け研修と中級者向け研修を庁内で行っております。
研修講師はパートナー企業に依頼しております。今年は初級者研修44名、中級者研修を13名が受講しました。研修受講者には試用アカウントを配布し、実際に触っていただいた上で、業務に活用する目途がついた人には正式にアカウントを付与しています。使える目途の大きいところからまず普及していこうという取組みをしています。
初級はkintoneを全く触ったことが無い方に一から触っていただく、中級はkintoneをある程度知っている方に、プラグインの活用等さらにもう少しランクアップした使い方について学ぶ内容となっております。
Q. 予算について、kintoneと既存の財務会計システムとの重複管理対する不満などはありましたか?あった場合、どうやって解決しましたか?
【愛媛県 梅木様】
重複管理に対する不満は、正直最初はありました。ただ、財務会計システム側で一意の番号を振っておりますので、その番号さえkintoneに入力すれば他の情報は入力不要という運用にしましたら、入力者の負担も大きく減ったので今は特に不満の声はきかないです。
Q. 自治会からの補助金申請受付システムにおいて、トヨクモ社のkViewer上で公開する個人情報を守るためのセキュリティ対策はどうされておりますか?
【今治市 岡本様】
Toyokumo kintoneApp認証(トヨクモkintone連携サービスへのアクセスに認証制限をかけるサービス)を使っています。また、庁内ネットワークからでしか認証できないようにIPアドレス制限もかけております。こちらは市の情報セキュリティポリシーに基づいて行っております。原課がこのようなシステムを作りたい場合は、情シス部門のアドバイスを受けながらやっていく形になります。
Q. 全自治体へ質問ですが、kintoneで個人情報などの機密性の高いデータを取り扱わせておりますか?管理側が全アプリを確認するのは困難と思われるので、セキュリティの観点からルール化が必要と思いますが、対策はされていますか?
【愛媛県 梅木様】
愛媛県ではkintoneを今年度からインターネット側に寄せたのですが、情報セキュリティポリシー上で「要配慮」に当たる情報でない場合は入れても良い、という整理で運用しております。
【今治市 岡本様】
今治市でも情報セキュリティポリシーに基づいた活用、という形におりますが、明確な線引きは少し難しいところもあるとは感じております。ですので最初はできるだけ内部事務の方から運用していく形が良いかと思っています。
【松前町 相原様】
同じく情報セキュリティポリシーに基づいて、というところになりますが、今回発表したアプリでは個人が特定できないようなもの、例えば運用番号であるとか、ニックネーム等で管理をしております。また、情報等を取得する場合は本人の同意を得る形で対応しております。
【西予市 上甲様 】
西予市も同じく情報セキュリティポリシーに基づいての取扱いになるのですが、サイボウズドットコムはISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)を取得しておりますので、セキュリティ的に安心して使っております。システムを作る際はDX部門が原課を伴走する形で作っておりますので、その際に個人情報の扱いについて原課の担当と話し合いながら、ダメなところはダメという線引きをしながら運用を進めております。
Q. 愛媛県様へ質問です。徐々にライセンスを増やしてきたとのことですが、庁内への展開・普及についてどのような取り組みをされたのでしょうか。
【愛媛県 梅木様】
まず庁内展開に関してですが、愛媛県は現在400ライセンスで全職員には行き渡らないので、希望する職員や部署を手上げ方式で募り、スマート行政推進課で精査した上でライセンスを割り振る形で展開しています。
庁内への普及については今治市さんと同じく、kintone研修会を実施しています。その研修会でkintoneではこんなことができるよ、といくつか機能を紹介し、それを見て関心を持った職員がスマート行政推進課にライセンス取得希望を申し出る、という形になります。
また、スマート行政推進課では庁内のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)も進めておりますので、BPRヘルプデスクを設置し、伴走型で原課職員と一緒にシステム等を作り上げていっております。
Q. アプリが正常に動作するかどうかの確認(テスト)は誰かが行っているのでしょうか?
【松前町 相原様】
基本的にはアプリを利用する原課の職員の方に確認していただくのですが、kintoneと連携しているプラグインで入力テストする際、エラー等が出たら情シス部門にもエラーメールが飛ぶように設定しております。もしその様なメールが来た場合は担当者の方にこちらから連絡し、修正してもらっています。
Q. 西予市さんのまずはログイン方法から始める説明会、とても良いと思います!この説明会というのは、デジタル推進課の職員が行っているのでしょうか。
【西予市 上甲様 】
基本デジタル推進課の職員が行っております。ただ西予市2023年(R5年)5月に「ノーコード宣言シティー」(ノーコード推進協会)宣言自治体に認定されましたので、そちらの支援プログラムの一環としてサイボウズ株式会社と共催でセミナーを行ったりもしました。
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最後の登壇者と会場参加者による交流会では、自治体職員同士で名刺交換や意見交換が闊達に行われました!
おわりに
今回のイベントは、kintoneをまだ導入していない自治体にとっては「こんな風に使えるんだ!」という具体的なイメージを持つきっかけになり、既に導入している自治体にとっては新しい活用方法や庁内展開のヒントを得る場となりました。参加者同士の活発な意見交換もあり、自治体間のつながりがさらに深まったように感じます。
サイボウズでは、今後も自治体向けのリアルイベントを積極的に開催し、皆様の業務効率化とDX推進を全力でサポートしてまいります。次回のイベントでお会いできることを楽しみにしております!
※本イベントの様子は、弊社が運営する自治体職員限定コミュニティ「ガブキン」内にてアーカイブ配信しております。また、当日の登壇資料も併せて掲載しておりますので、ぜひご確認ください。
※コンテンツの閲覧には、「ガブキン」への参加申込(行政職員ならどなたでも無料)が必要です。