2025年10月23日(木)・24日(金)の2日間、福島県の会津美里町で自治体職員によるノーコードアプリ開発イベント 「Aizu Gov Hack!」 が開催されました。
このイベントは、会津美里町が周辺自治体も巻き込みながら、kintoneの活用をさらに広げたいという思いから企画されたものです。会津美里町は、サイボウズが主催する自治体向けイベント 「kintone hive government」 でアワードを受賞した実績もあり、kintoneを活用した業務改善に積極的に取り組んでいます。
(参考: kintone hive government 2025 開催レポート)
イベントでは、事務局が設定した共通テーマに沿って、各チームが制限時間内にアプリを開発するハッカソン形式のワークショップを実施しました。
今回のテーマは 「だれかの『困った』を解決するアプリ」。
あえて日常の役所業務から少し離れ、柔らかい発想を促すテーマとしています。
※ハッカソン(Hackathon)とは、「Hack(創造的に作る)」と「Marathon(短期集中でやり切る)」を組み合わせた言葉で、短期集中でアイデアを形にするイベント形式のことです。
参加者は主に会津管内の複数自治体から集まり、3〜4名のチームを組んで挑戦しました。kintone未経験者も多くいましたが、リコージャパン株式会社とサイボウズが技術支援を行い、安心してアプリ作成に取り組める環境を提供しました。
※リコージャパン株式会社作成
目的
イベントの目的は、自治体職員の創造力と実践力を育むこと。
さらに、自治体間の交流を通じて、ネットワーク形成や情報共有の促進も狙いとしています。
詳細
開催日:2025年10月23日(木)・10月24日(金)
参加自治体:会津美里町、小野町、三島町、柳津町、金山町、西会津町 ※金山町、西会津町は初日のみ参加
主催:会津美里町
協力:リコージャパン株式会社、サイボウズ
研修の流れ
初日
二日目
実施内容
1日目
まずはリコージャパン株式会社によるハンズオン講座からスタート。
ハンズオン講座ではkintoneの基本操作や、自治体業務でよく使われる連携サービスなどについても学びました
参加者は真剣な表情で画面に向かい、アプリを作成。
講師の丁寧な説明により、初心者でもスムーズにkintoneへの理解を深めていきます。
午後からはチームごとにアプリ開発及び発表資料の作成に着手。
「だれかの『困った』を解決するアプリ」というテーマに沿って、自由な発想で設計が進みます。
チーム内で話し合ったアイデアをもとに、課題をどう解決するかを議論しながら、アプリの構造を組み立てていきました。
参加者からは、以下のような声が寄せられました。
こうした声からも、イベントが単なる技術研修にとどまらず、職員の意識改革やモチベーション向上にもつながっていることが伺えます。
初日終了。
各チームがそれぞれの課題に向き合い、アプリの骨格が見えてきました。
研修終了後も「もっとこうしたら良いのでは?」といったアイデアが飛び交い、翌日に向けた準備が進められました。
2日目
2日目もはじまりました。
昨日に引き続き、アプリ作成に取り組みます。
各チームは、前日の成果をもとに、より完成度の高いアプリを目指して作業を進めました。
午前中はアプリの仕上げとプレゼン資料の準備。
限られた時間の中で、完成度を高めていきます。
「どうすれば伝わるか」「どこを強調すべきか」といった議論が活発に行われ、チームワークの良さが光っていました。
発表スライドも準備が進み、チームごとに役割分担しながら最終調整。
資料の見せ方や話す順番など、細部にまでこだわる姿勢が印象的でした。
午後からはいよいよ発表です。
審査は、会津美里町副町長をはじめ、同町のデジタル化推進アドバイザー、会津地方振興局、リコージャパン株式会社、そしてサイボウズの計5名によって行われました。
発表順は、事務局側で作成した「発表順抽選アプリ」によって決定されました。
発表①:会津美里町チーム「公園のチャンピオンは君だ!アプリ」
職場の運動不足を解消するためのアプリ。
「理想の職員像=運動習慣があり、仕事もバリバリこなす人」を目指し、日常的に運動を促す仕組みを構築しました。
アプリには以下の3つの工夫が盛り込まれています:
実体験に基づいた設計で、継続的な運動習慣の定着を目指しています。
発表②:三島町チーム「雪害ボランティア支援アプリ」
豪雪地帯である三島町が抱える「雪害対応の混乱」を解消するためのアプリです。
昨年度、記録的な豪雪に見舞われた三島町は、除雪業者の対応が追いつかず、交通が途絶えて孤立状態に。職員総動員で安否確認や除雪を進め、さらにボランティアの力を借りて対応しましたが、情報共有や連携には大きな課題が残りました。
今回のアプリは、こうした課題を解決するために、住民・役場・ボランティアの三者がスムーズに連携できる仕組みを構築しています。
アプリの機能:
このアプリにより、住民が安心して冬を越せる環境づくりを支援します。
発表③:TEAM OnO「今日、何くいっちぃ~?アプリ」
家庭内の「夕飯どうする?」問題を解決するアプリ。
特に母親が毎日悩む「夕飯のメニュー決め」を、家族全員で協力して決める仕組みを構築しました。
主な機能:
家族のコミュニケーションを促進し、笑顔あふれる家庭づくりを支援します。
発表④:柳津町チーム「ひと×AI 助けあい生成アプリ」
冠婚葬祭や業務文書などで発生する「ちょっとした困りごと」を、過去の経験とAIの力で解決するアプリを提案。
このアプリでは、Smart at AI for kintone Powered by GPTプラグインを活用し、自治体職員の知見と生成AIを組み合わせることで、より高度な支援を実現しています。
アプリの特徴:
Smart at AI for kintone Powered by GPTを活用することで、単なるAI生成ではなく、精度の高い文章作成が可能になりました。
「誰かの困りごとが、誰かの“楽ちん”になる」ことを目指し、自治体職員の知見を活かした助け合いの仕組みを構築しました。
結果発表
結果発表です。
最優秀賞に輝いたのは、柳津町チーム!
審査員からは「課題設定が明確で、実用性が高い」「プレゼンが分かりやすく、チームワークも素晴らしかった」と高評価を受けました。
受賞チームには記念品が贈呈され、会場は大きな拍手に包まれました。
受賞後、チームからはこんな声が聞かれました。
「最初は困りごとを集約するだけの話でしたが、理想としては会話術や言い換えをAIで提案できる仕組みにしたいと思い、プラグインを導入しました。
kintoneは初めてで設定に苦労しましたが、サポートを受けながら進めるうちに、最初の設定さえクリアすれば誰でも作れると実感しました。柔軟に設定できるのも魅力でした。
他の自治体の参加に刺激を受け、DX推進にはこうした交流の場が欠かせないと感じました。また開催されるのであれば、次回もぜひ参加したいです。」
集合写真
イベントの最後は、参加者全員で記念撮影。
2日間の成果と笑顔が詰まった一枚となりました。
まとめ
このように、「Aizu Gov Hack!」は、自治体職員が自らの手で課題を見つけ、解決策を形にするという貴重な体験の場となりました。
今回の取り組みは、会津地域で自治体同士が協力しながらDXに挑戦する新しい動きとして、大きな盛り上がりを見せています。
これまで各自治体で個別に進められていたデジタル化が、こうしたイベントを通じて「一緒に考え、学び、作る」文化へと変わりつつあります。
今後もこの流れが広がることで、自治体のDXがより現場主導で進んでいくことが期待されます。