サイボウズが、2023年5月より開始した「kintone1年間無料キャンペーン」。
参加いただいた自治体の一つである栃木県壬生町様は、情報システム部門・行政改革部門・財政部門が密に連携することにより、効果的にkintoneの活用を推進されています。
kintoneを用いた効果的な推進方法について、壬生町総合政策課の加藤財政係長、石田情報デジタル係長、梁島さんにお話を伺いました。
【壬生町様のご紹介】
約4万人の人口を有し、職員数(総務省が公表する最新の「地方公共団体定員管理調査結果」に示されている、一般行政部門(一般管理+福祉関係)の職員数)約200名。近年では、人口10万人当たりの医師数全国5位、人口10万人当たりの看護師数全国5位となるなど、医療環境の充実などを理由に「住みよい 住み続けたい」と思う町民が9割近くに達し、ますます「住みたい 住み続けたい町」へと歩んでいる。
左から梁島さん、石田情報デジタル係長、加藤財政係長
1.壬生町様における、ここ数か年のデジタル化計画
令和4年度に、内部事務に関する業務量調査を全庁向けに行いました。結果として様々な業務において職員負担が大きく、見直しの必要性を痛感しました。
その後BPRを原則として、デジタル活用だけではなく、既存の業務の実施方法や媒体等の見直しを行いました。同年の新庁舎移転を一つのきっかけとして、LANの整備、チャットツールの導入などを通じ、職員の働き方改革を推進しています。
住民サービスの向上についても、オンライン申請の拡充、マイナカードを活用した窓口申請の簡易化、公共施設予約システム稼働及び電子決済の開始等をはじめ、住民の方のニーズを取り入れながら行っております。
今後は、kintoneを活用した業務の効率化を図り、職員の余力を発生させ、住民サービスの向上により注力できる環境を整えていきたいと考えております。
2.キャンペーン参加の背景
当町では、もともと現状特に非効率な予算査定業務にフォーカスし、効率化できるツールを選定しておりました。kintoneも候補として挙がっていたところですが、有用性を確認するにはそれなりのアカウント数と期間が必要となるため、導入の検討も出来なかったところです。
そんな時に、サイボウズからのDMにより、キャンペーンでkintoneを1年間検証できることを知りました。財政担当を基点に、行革部門(総合政策課企画調整係)・所属長(総合政策課長)にて検討し、参加させていただく形となりました。
3.キャンペーンの取り組みと展開
キャンペーン参加後は、まず情報デジタル係にてkintoneを研究しました。
その後、企画調整係では『実施計画作成』『行革に関する職員提案』を、財政係では『予算計画』『予算査定』『中期財政計画』を、情報デジタル係で『町民の方向け申請・手続きデータベース』を、kintoneで構築・完結するようにし、主に行革部門・財政部門にて全庁的に活用する環境を構築しました。
特に、財政係で作成した予算査定業務関連のシステムについては、当初より計画していた背景もあり、早期に始動しました。現行の仕組みをkintoneに置き換えて実務でも使用することで、全職員がkintoneに触れることができたのが庁内展開を進める上で非常に効果的でした。
その他、企画調整係や情報デジタル係で、各課へ業務改善の手段として活用を提案したり、活用・操作に関するサポートを行った結果、徐々に活用を希望する声や、介護認定調査業務・家屋調査業務・公用車管理/運転日誌等、具体的に業務に組み込む動きが生まれております。介護認定調査業務や、家屋調査業務などはインターネットクラウドとしてのメリットを活かし、庁外からタブレットでデータを入力できる仕組みとして構築することで、業務の効率化を図りました。
4.庁内展開を進められる上で、苦労されたポイント、及びそれに対する取り組み
管理について慣れるまで1人だと心細く、初期の対応も局所的ですが苦労しました。自分も学習している段階だったので、職員からの疑問に回答するのに時間を要したこともありました。
最初に進める業務が絞れていたことと、行革部門・財政部門が推進に意欲的で、自律的にkintoneの操作やプラグインの選定を行っていただいたこと、キャンペーンで様々な機能やプラグインを試用できたことが救いでした。
庁内展開には事例共有や操作サポートのほか、絶対に操作しなければいけない状況を作る、職員がまんべんなく触れる機会を作るということが重要だと考え、企画部門・財政部門の業務におけるkintone活用を進めたのですが、これはかなり効果的でした。
また、 また、各部署が抱えている課題をkintoneでどう改善できるかというイメージや、操作面は情報部門でサポートしますというアナウンスを実施したのですが、こういった取り組みも展開を進める上で有用だったかもしれません。
5. キャンペーンに参加してよかったこと
操作研修やミーティングにおいて、他自治体の職員の方やサイボウズと繋がりながら事業を推進できたことと、部門を越えた事業実施をするきっかけになったことです。一人もしくは一部の部署単独での推進は挫折の可能性が高くなるとともに、行えることも限界があります。
そのほか、今回実証した予算査定業務は、短期間で終わるものではないので、全職員分のアカウントが、一年間という長期に渡って配布されたことも効果的だったと感じています。。同時に、管理にかかるコストを試算することもできました。
加えて、情報部門主導だと行革部門へどう提案するか、財政部門にどう納得してもらうか、というように、操作や管理以外にも課題が発生しやすいかと思います。しかし、今回は行革部門・財政部門も巻き込んでのキャンペーン参加を実現できたため、そういった課題を最小限にできたほか、説明するより操作して実際に体験してもらうきっかけとなったため、導入に向けた協議や提案もスムーズでした。
なお、サイボウズにおかれても活用や予算化ミーティング等を複数回開催していただいたため、よりそれぞれの部門が腹落ちする機会が増えたと感じています。
併せて、他の参加自治体様の動きも把握できるため、予算化やアカウント数、活用方法等様々な情報を行革・財政・情報部門で共有できたことも大きいと感じています。
6. 他のサービスと比べ、kintoneの優れている点
導入している組織の事例、アプリのテンプレートが豊富なこと、コミュニティスペースがあるため、庁内展開時に説明や提案がしやすいことに加え、自身で業務改善のための取り組みを見つけやすいです。
操作についても、動画トレーニングメニューを一周すれば基本動作+αは習得できますし、発展的な内容もインターネットやコミュニティで検索することで解決できます。まずは基本的な操作で業務改善を図りたい方も、意欲的に進めたい方も、それぞれのペースで推進できるのが良い点でした。実際にアプリを構築する場面においては、他のツールと比較しても、とりあえず作ってみよう!という気持ちになりやすいと感じています。万が一うまく作れなければアプリテンプレートを利用すればいいので、アプリ構築のハードルは非常に低く、誰でもチャレンジしやすいと思います。
また、アクセス権については、アプリケーションだけでなく、レコードの値やフィールドでも細かく設定が出来るため、最初の設定に時間を取られてしまうものの、アプリケーションの運用後は無駄な操作を極力排除することが出来ました。また、プラグインが多く開発されているところも優れている点だと思います。
7. kintoneを活用する上で、課題に感じること
kintoneの導入に関しては、運用するためのリソースが乏しかったり、財政的に厳しい自治体では実現しにくい可能性があります。というのも、運用や活用促進について、情シス部門単体では厳しいので、導入が叶っても費用対効果を出す・検証する動きができるかというところで不安に思う自治体は正直あると思うためです。
当町ではありがたいことに、課長からの後押しや、行革部門・財政部門がkintoneの活用について理解と協力があり、また、デジ田交付金活用についても強い後押しがあったことから、導入決定と活用促進の動きが生まれましたが、両係の理解・協力無しでは厳しい状態だったと感じております。
kintoneに限った話ではありませんが、全庁的な協力や中核となる部門の連携、そして管理職の理解しようとしていただく姿勢と後押しはとても重要であり、このことができるかできないかで今後のその自治体の未来も変わってくると思います。
また、接続環境について、地方自治体で同様のサービスを検討する際、LGWANでの利用が可能か、可能だとして、通常と比較して費用が大きく上昇しないかという点が重要な項目となっていると考えています。総務省も弾力的な対応を可能とはしていますが、既に大きな費用をかけてネットワークを構築している地方自治体にとって、その構成を変える費用並びにエネルギーは相当なものとなってしまいます。
現時点で当町はインターネット領域でのkintone活用を進めていますが、仮想ブラウザ経由でアクセスをするため、同時アクセス数の制限などがあり、今後活用が広がり、接続数が増えるとそういった部分も課題になってくる可能性があります。
8. 今後の計画について
今後はExcel管理を行っている運転日誌・車両管理台帳のkintone移行を行っていくほか、広報依頼やアクセス許可申請等情報部門が受け付ける申請や依頼について、完全ペーパーレス・電子決済化を目指していきます。
また、業務量調査結果や各課職員意見から、kintone活用による業務改善・効率化が見込める場合には、サポートをしつつ活用の幅を広げたいと考えております。対町民向けには、住民サービスの向上を目指して、お手持ちのスマートフォンで必要な手続きを完結できるような仕組みを構築していきたいと思います。当町はマイナンバーカードの取得率も高いので、その辺りとの連携もできると理想的ですね。
なお、庁内でのkintoneの利用が拡大していくよう進めていきたいので、それに伴い、アカウント配布範囲の整理であったり、LGWANの観点から課題が発生しそうだと懸念はしていますが、一つずつ課題に取り組み解決していきたいと考えています。
9. 行政DXにおいて、課題に感じること、他の行政職員へのメッセージ
行政DXの推進には、トップから若手まで一体となった、庁内における業務改善に対する意識の醸成が必要であると考えています。情報システム部門の職員だけが奔走しても、周りの理解や協力が無ければ、DX推進の庁内の機運はしぼんでしまいます。当町でもその雰囲気はありましたが、行革・財政担当部門との連携が進むことにより、ツールの新規導入・導入済みツールの利用促進も含め、業務改善に向けて進み始めました。
デジタル活用により内部事務の効率化が図られることが、職員にとって働きやすい職場を作り、今後若者から選ばれる職場となっていきます。そして、申請・手続きのオンライン化など、住民サービスのデジタル化の推進は、住民の利便性向上に大きく寄与し、当町での住みここちの向上に繋がっていくものと考えております。
DXやデジタルと聞くと、何か壮大なもの・目新しく華やかなものを考えてしまいがちですが、しっかりとゴールを見据え、行政として行うべきことを組織として共有し、土台をしっかりと作ることが重要と考えます。当町においても焦らずに一歩一歩進んでまいります。
おわりに
2ヶ月ほど前に終了した本キャンペーン。今回、終了後1ヶ月が経過したタイミングでお話をお伺いできましたが、kintoneを利用して更なる業務改善を図られている姿を拝見させていただき、私たちも気が引き締まる思いがしました。
サイボウズでは2024年度も「kintone1年間無料キャンペーン」を「キントーン1年間無料 自治体DX応援プログラム」に改称の上、バージョンアップして実施しております。
所属する自治体の全職員でキントーンを1年間無料でご利用いただけるプログラムです。詳細は次のページをご覧ください。
壬生町様をはじめ、2023年度に参加いただいた自治体様同様、今年度参加いただいている自治体様の業務改善にkintoneが寄与できるよう、より一層のサポートに取り組んでまいります。
壬生町役場の皆さま、ご協力いただきありがとうございました!