「kintoneを使った業務改善アプリを庁内に広く周知したいけれど、何をすればいいんだろう」「kintoneをどうやって庁内に広めたらよいでしょうか」といったお声を、自治体職員様からよくお聞きします。
kintoneはノーコード・ローコードツールだからこそ、様々な業務にフィットするシステムを作ることができるというメリットがありますが、一方で具体的になにができるのか、自治体業務でどのように活用できるのか、具体的なイメージをもっていただきづらい面もあるかと思います。
職員様一人ひとりに、kintoneが業務でどのように利用できるかのイメージをもっていただき、kintoneによる業務改善を自分事として捉えてもらうための取り組みの一つとして、庁内でkintoneを活用した業務改善の成功事例をつくり、それを広報してkintoneの認知を拡大する、という方法が効果的になる場面があると考えています。この記事では、kintoneを活用した業務改善をスピード感をもって推進されている、宇都宮市役所 デジタル政策課様の、庁内展開のための取り組みをご紹介します。
(サムネイル写真は左から 石﨑 豪浩さま、大根田 友範さま、福富 隆史さま)
(以下、ーはサイボウズからの質問・コメント)
ー さっそくですが、kintone導入の背景を教えてください。
令和4年度に、庁内のデジタル人材を発掘するため、「ノーコード開発ツール」と聞いて興味・関心をもつ職員がどのくらいいるのか、また、業務改善ツールとして職員が使いこなせるものなのかを把握したいと考えていました。
数あるノーコード開発ツールの中から、自治体における導入実績が十分にあり、LGWAN環境で利用が可能な「kintone」に着目し、無償トライアルを申し込みました。操作についての説明動画を庁内に共有したところ、約100名の職員からkintoneを使ってみたいと手が挙がりました。こういった場面で、関心をもってくれる職員が今後のデジタル人材になりうると考え、まずは希望のあった100名でkintoneを使ってみるところからスタートしました。
その後、サイボウズの全面協力のもと庁内ハンズオン研修を実施することとなり、庁内で希望を募ったところ、30名の職員が自主的に参加し、デジタル人材の発掘という目的では大成功の結果となりました。
庁内ハンズオン研修の様子
また、庁内ハンズオン研修に参加した職員が作成したアプリについて、導入効果を試算した結果、業務改善が十分に見込めたことから、令和5年度から正式にkintoneを業務改善ツールの一つとして導入し、LGWAN環境およびインターネット環境の両方で利用しています。
デジタル政策課 石﨑豪浩さま
ー 庁内展開に関して、感じていた課題はありますか。
庁内展開する際に、kintoneとは何か・何ができるのか・どんな効果があるのか、を全職員にうまく理解してもらえるかどうかが課題でした。
そこで、庁内ハンズオン研修に参加し、先行的に利用しはじめている職員がどのような業務でkintoneを活用しているか、といった事例を庁内で周知することで、kintoneの具体的な利用イメージが湧き、kintoneを使いたいという声が増えるのではと考え、アプリ発表会を開催しました。この発表会では、ノーコード開発ツールを使って簡単に事務効率化を実現できるということを、一人でも多くの職員に知ってもらいたく、会場(宇都宮市役所内)とオンライン配信のハイブリッド形式で開催しました。
アプリ発表会の様子
アプリ発表会の実際の資料(一部)
ーアプリ発表会では、どんな事例が紹介されたのですか。
令和4年度の庁内ハンズオン研修に参加してくれた30名の職員の中から、kintoneアプリを作っていた職員数名に声を掛けて、出演してもらいました。ハンズオンの中で感度高く積極的にアプリを作ってくれ、実際に活用をはじめていた職員もいたので、みなさん発表には大変協力的でとてもありがたかったです。
事例発表の様子
アプリ発表会の実際の資料(一部)
ー どのくらいの職員さんが参加されたのですか。
オンライン参加も合わせて約150名の職員が聴講しました。参加者の大半は、この発表会ではじめてkintoneを知る、または「CMを見て製品名くらいは知っているけれど、、、」といった職員でしたね。
ー かなり多くの方が参加されたのですね!
アプリ発表会の開催については、全庁掲示板(職員向けポータル)で案内しました。市長をトップとする幹部級の会議である「宇都宮市DX実現本部」でも事前告知したことで、アプリ発表者が所属する部署の上司などにも参加してもらうことができました。
また、サイボウズからも、他の市町にも声を掛けてみたら、というアドバイスをいただいたこともあり、栃木県庁に働きかけ、県主導のDX関連の会議「栃木県デジタル社会形成推進研究会」で、県下全25の市町にアプリ発表会の開催を周知する場を設けてもらいました。
発表会当日は栃木県内の全市町にライブ配信をし、宇都宮市の取り組みとして、庁内外に広く周知しました。
デジタル政策課 福富隆史さま
ー 庁内外の多くの方を巻き込むことがポイントですね。
アプリ発表会の開催目的は「庁内の活用事例を知って、自分の業務でもkintoneを使ってみたい!」と思ってもらうことだったので、kintoneの活用イメージを持ってもらえることを広く周知できる内容を目指しました。アプリ発表者がいろいろな課の職員で構成されていたこともあってか、さまざまな部署から大変多くの職員に参加してもらえましたね。
発表会に登壇された職員のみなさん
ー アプリの発表方法で、工夫されたことはありますか。
今回の発表会では、参加した職員に「kintoneって簡単で、便利だな」ということを共感してもらうことを第一に考えました。そのために楽しくkintoneを体験してもらえるよう、参加した職員には、kintoneで作成した「いいね!投票アプリ」から、「便利そうだな」「同じようなものがつくれそうだな」と共感したアプリに投票をしてもらうなど、聴講者参加型の形式で開催しました。
評価にあたっては、発表職員全員を評価する仕組みとして、順位をつけるのではなく、某飲食店ガイドのように、すばらしさを星の数で表現することとしました。
結果として、一方的な発表だけではなく、発表を聞く職員にも参加してもらう形式にしたことで、多くの職員がkintoneを自分事として捉えることができ、その後の利用拡大につながったのではないかと感じています。
デジタル政策課長 大根田友範さま
また、アプリの紹介だけではなく、削減できた時間数など、見込みも含めた改善効果を定量的に示した点も良かったと思います。予算などを担当する部署にも発表会にも参加してもらいましたが、kintoneに業務改善効果があると認めてもらえていると感じます。実際に財政課の職員にもkintoneを使ってもらえていますし、kintoneを必要としている部署にライセンスがある状態にしていこうという、kintoneの必要性の理解も進んでいると思います。
ー アプリ発表会の開催後に感じた効果・反響はありましたか。
発表会開催後のアンケートでは、「kintoneを利用したい・利用してみたい」「活用のイメージがわいた」という回答がとても多くありました。
アプリ発表会開催後、kintoneを使ってみたいという職員が100名程度増え、結果として利用者が3倍になりました。その職員に、基本操作の研修や伴走支援を実施することで、kintoneを業務で活用する事例もかなり増えました。
全庁展開の前に、事例をもとにしたアプリ発表会を開催することで、活用イメージを広く周知できるので発表会は効果的であったと考えます。
アプリ発表会に参加した近隣自治体からも、いくつか問い合わせがありました。栃木県内のkintoneを導入・検討している自治体とは今後も情報共有していければと思っています。
ー 自治体を越えた取り組みの共有、すばらしいですね!
取材の様子
現在は、庁内の業務改善事例集として、kintoneだけでなく、RPAや電子申請ツールなどの活用事例をまとめた資料を作成しています。その中で、新たに実装されたアプリも含めていくつかのkintone活用事例を掲載する予定です。現在、各課の声を集め、当初の課題や取り組んだこと、改善効果などをまとめています。
資料を作る中で特に心がけているポイントは、職員の写真を掲載するなどして「顔が見える事例集」にすることです。デジタルツールを活用しているのは各課の職員なので、その点を意識しています。庁内だけではなく、対外的に宇都宮市のDX実現に向けた取り組みをアピールできような資料にできるよう工夫していますので、公開を楽しみにしていてください。
ー 今後kintoneをさらに庁内で展開されていく中で、感じている課題などありますか。
kintone自体が手軽で簡単なツールであるので、まだ複雑な業務アプリの実装まで実現できていないという点でしょうか。
今後は、庁内のイノベーター層からの「これもkintoneでやりたい!」「アプリをもっとこうしたい!」といった要望に応えつつ、アーリーアダプター層の職員にkintoneを広めていくという二軸のバランスをとりながら推進していく必要があるかなと思っています。
再びアプリ発表会を開催する際には、初心者向けの事例発表と、さらに発展したアプリの紹介、といったように、部門を分けて開催してみるのもいいのかなと思います。まずはkintoneを使ってもらえなければ意味がないので、高度なアプリばかりを紹介するのではなく、kintoneに価値を感じてもらう最初の一歩のハードルを低くできるといいなと思っています。
ー 最後に、今後のキントーンの活用の展望を教えてください。
庁内には、まだまだ他にもkintoneが使える業務がたくさんあると思っています。いろいろな部署のkintoneの支援をしている中で、「他部署の似た業務でもこのアプリが使えそうだな」などと感じることが多くあるので、kintoneで解決できる課題があることにまだ気付けていない職員にもkintoneの利用が拡大するよう取り組み、もっと庁内のkintoneユーザーを増やしていきたいと思っています。
アプリ発表会第2弾、開催します!
ー 宇都宮市様の今後の取り組み、楽しみにしております!宇都宮市デジタル政策課の皆さま、すてきなお話をありがとうございました!
(取材 2024年2月1日 サイボウズ日本橋オフィスにて)
サイボウズでは、庁内でkintoneを展開する際に活用できるコンテンツを多数ご用意しております。自治体で実際に使っている業務アプリのテンプレートや、アプリの利用方法をご紹介する動画などを行政職員限定コミュニティ「ガブキン」にて公開しております。ぜひご活用ください!
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