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「自治体の働き方改革はどう進める?」神戸市久元市長・サイボウズ青野の対談を実施しました

サイボウズ株式会社と神戸市役所は、2019年4月19日に事業提携を発表しました。全庁的な業務改善を推進するためのパートナーシップを結び、働き方改革を進めていくことが目的です。

2019年4月19日に発表した事業提携のプレスリリース

今回は協業をスタートするにあたり、双方のビジョンを共有するべく神戸市久元市長とサイボウズ代表の青野によるトップ対談を実施しました。

トップとしての働き方改革への思い、現在の役所が抱える課題と解決に向けたアプローチ、そして今後目指す姿まで語っていただきました。


■働き方改革への思い

サイボウズ代表取締役社長 青野:(以下、青野)

本日はよろしくお願いいたします。

神戸市 久元市長(以下、久元):

働き方改革についてご指導・アドバイスをいただけるとのこと、ありがとうございます。


左:久元 喜造 市長 右:谷口 真澄 企画調整局長


青野:

職員の方からお話を伺っていますと、デジタル化が着実に進んでおられるようですね。

久元:

まだまだです。今度北区役所の業務改善プロジェクトにも関わっていただけると聞いていますが、区役所の窓口には未だにゴム印が沢山あり愕然としますよ。出来たらゴム印を1年以内に一掃したいところです。

青野:

私が新卒でパナソニックに入社した時もハンコ文化でした。この25年間、日本は進歩しないまま来てしまったのかもしれませんね。

久元:

役所の業務に、「交付税の計算」があります。昔はそろばんを使って計算していましたが、それが昭和30年代にタイガー計算機になり、その後Excelへと変わっていきました。しかし、ツールは変わってもこの仕事に費やす残業時間は実は変わっていないのです。ツールは進歩しているのにも関わらずです。そういう意味では、25年どころか60~70年進化していないのかもしれないですね。

青野:

ツールが変わっても、それを使いこなす人間の方がやり方を変えなければいけないということですね。


左:サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野 慶久 右:執行役員 栗山 圭太


久元:

私は働き方改革を進めるにあたって、職員が疲弊しないようにしたい。神戸市は震災以降、職員を33%削減してきましたが、その間仕事は増えています。この苦しい状況の中で、「働き方改革」という新たな仕事を与えられてしまったと感じている職員もいるはずなんです。かと言って、仕事のやり方を抜本的に変えなくては立ち行かなることは明白。どうすれば、疲弊感なく進めることができるのか、助言してほしいと思っています。

また、できるだけ単純な作業から解放されて、クリエイティブな仕事、前向きな仕事にリソースをシフトさせたい。しかし、反復によってスキルや発想を習得できるということも事実であるので悩ましい。私自身も一度聞いただけのことは忘れてしまうが、自分が何度も手を動かして作った条文のことはいまだに覚えていたりします。

青野:

私たちサイボウズの社内でも、デジタル化を進めたことにより情報が溢れています。その情報の全てを覚えておくことはもはや無理なので、情報の海の中から、いかに検索して見つけられるようにするか、情報同士を繋ぎあわせるかを大事にしています。


■人口減少と新しい神戸のビジョン

青野:

阪神淡路大震災は、私が社会人1年目の時でした。当時は何が起きたかさえわからないような状況でしたが、今、神戸市はここまで大きな復興を遂げられたのだなと。もちろん人口減少社会の中で新たな課題もおありかと思いますが。

久元:

推計人口としては、残念ながら川崎市に抜かれて全国で7番目になりました。人口減少という大きな流れは止められないが、いかにゆるやかにしていくかを考えるのが重要。そのために、都市としてのより明確なイメージを作って、魅力を発信していきたい。

青野:

神戸はブランドが強いエリアなので、これまではあまりやらなくても良かったのかもしれませんね。

久元:

神戸のブランドは過去からの積み重ねがあってこそのもので、自然に任せておけば維持できるということはありません。積極的に発信していく必要があります。では何を発信していくのかと考えた時、震災から皆が助け合って復興してきたというヒューマンな要素もありますし、これからはデジタルを活用して、より人間らしく生きられる都市を目指すという切り口もあると思っています。

青野:

デジタルという切り口であれば、ぜひ市役所からデジタル化を進めて新しいビジョンを示していきたいですね。


■ITと組織の両面でアプローチを

サイボウズ執行役員 栗山(以下、栗山):

サイボウズという、民間企業の中でも一風変わった会社をパートナーに選んでいただきましてありがとうございます。

神戸市 谷口局長(以下、谷口):

こちらこそよろしくお願いいたします。働き方改革は、やり方がわからないがとにかくやりたい、やらなければならないと考えている職員が非常に多いのです。

栗山:

視察に来られた民間企業に対してサイボウズの取組を紹介すると、「それはサイボウズだからできるんだ」と言われてがっかりすることがあります。今回パートナーシップを締結させていただいたということは、「思い切りやってよい」ということだと解釈しています(笑)

神戸市 岩﨑部長(以下、岩﨑):

サイボウズの自由な気風がkintoneにも表れていると感じます。職員が自ら使い勝手の良いようにシステムを作って、実際に業務でも使い始めている部署もあります。そこで成果を出して他の部署に展開していきたいですし、ぜひ職員の皆さんにもシステムを作る体験をしてほしいと思っています。

右:神戸市企画調整局 岩﨑 林太郎 情報化戦略部長 

青野:

これだけ多様な人達、多様な業務がある中でさらに効率を上げていこうと考えた時、自分たちで業務をデザインするスピード感が必要です。システム1つ作るのに半年かけて、何百万円、何千万円かけていては、システムが変革のスピードについてこれません。さらに、マネージャーは現場がどんどん改善していくことを認め、後押ししてあげる必要があります。「勝手に何するんだ」と上から吊るし上げる上司もしますから(笑)組織のあり方から変えていくアプローチが重要です。

谷口:

現場の数が非常に多いので、一律のルールで縛ってしまうと身動きが取れなくなってしまいます。各現場の状況に応じて、若手職員がkintoneで改善していくような形にしていきたいと思います。

久元:

自治体の特徴は、仕事の種類が非常に多く、かつ細分化されています。そのためシステムの数も多いです。さらに、それらのシステムがそれぞれの事情によってカスタマイズされている。これからは、どうやって職員がシステムの設計に主体的に関わっていくかが重要になると考えています。

谷口:

先ほど栗山様から、システムは8割を作るのに2割の労力や予算をかけ、残りの2割を完成させるのに8割をかけると伺いました。神戸市の場合は、残り2割の部分も完全なものにしようと相当なカスタマイズコストを払っていますが、8割のシステムを作って残り2割は現場の工夫という選択肢もあると。

栗山:

そこを理解して取り組むと、システムにかける費用も大きく変わってくると思います。

青野:

カスタマイズされた部分は職員もよくわからず、ベンダーに依存するという状況が生まれます。ひいては、市民サービス改善の妨げにもなりますね。


■役所にも「理想を語る」機会を

青野:

サイボウズは大阪にもオフィスがあります。私たちのオフィスはオープンに使っていただきたいという思いがあり、ワークショップなどをしたい方にお貸しすることもあります。

サイボウズ大阪オフィス。2018年8月に約2倍に増床しました。


久元:

ぜひ、そこで神戸市職員向けにワークショップをやってほしい。私も出席しますので。例えば、神戸市が関西全体の発展のためにどう貢献できるかや、万博をテーマとしても良いかもしれません。

栗山:

サイボウズには「問題解決メソッド」というメソッドがあり、ワークショップを行う際にもまず「理想の設定」から始めます。

久元:

それはいいですね。役所は理想を語るということが非常に少ないです。「こういう問題が起きた、そのためこのように対応します」というように、問題から議論することが多いのです。

青野:

そこに理想がないわけですね。

栗山:

サイボウズ社内では、理想がなければ問題も生まれないとしています。問題は理想と現実のギャップであると定義しているためです。理想を高くすれば問題は大きくなりますし、逆に理想を低くすれば問題も小さくなっていく。

久元:

役所では、理想を語った途端に「どうせ到達できない」という心理が働いたり、周囲から叩かれるためにあまり重視されてこなかったんですタブー視されているのです。でも、理想を語ることが本来は必要だと考えています。

栗山:

サイボウズ流のワークショップは理想づくりから始まるので、やってみたら面白そうですね。理想を作ろうと言った途端に手が止まるかもしれませんが(笑)

青野:

理想を語るには強さが必要です。馬鹿にされるかもしれないとか、上司に叩かれるかもしれないという不安が生まれるからです。それを乗り越えるための心理的安全性を組織に作っていくことが大事です。

栗山:

クローズなワークショップであれば、心理的安全性を担保できそうですね。

久元:

現在は情報公開をはじめ何事もオープンにする流れですが、一方でクローズで議論できる環境も必要です。完全にオープンな状態で議論しようとすれば、誰も本音で発言できない状態に陥ってしまうでしょう。

青野:

本音で発言しても大丈夫だという心理的安全性を、風土の面からも作っていく必要があります。その風土が無いままに、議論のオープン化だけを先行してしまうと発言ができない状態になってしまうでしょうね。

久元:

ぜひ満足度が高いワークショップを作っていきたいと思いますので、具体的なお話を今後させてください。本日はありがとうございました。


■編集後記

ただITを使って業務の効率化をするという話に留まらず、市役所として共通の理想をいかに作り上げていくかという風土づくりも含めて、双方の知恵を出し合いながら推し進めていくという点で方向性が合致しました。この後、サイボウズ青野と神戸市若手職員50名にてオープンディスカッションを実施し、職員が持っている「働き方改革」に関する率直なギモンに答えていきました。次回の記事ではその模様をレポートします。ご期待ください。