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サイボウズ青野・神戸市役所若手職員とのオープンディスカッションを実施しました!

全庁的な業務改善を目指して事業提携協定を締結した神戸市役所とサイボウズ。自治体における組織改革についての議論を通じて機運を高めるため、サイボウズ株式会社代表取締役社長の青野と神戸市役所の若手職員によるオープンディスカッションを開催しました。

本イベントには職員約50人が参加。事前に職員から集めた問題意識や質問をベースに展開された、「モチベーションを高めるには?」「評価制度はどうあるべき?」といったディープで熱い議論をレポートします。

■登壇者

  • サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久 氏
  • サイボウズ株式会社 執行役員 営業本部長 栗山圭太 氏
  • 神戸市 企画調整局 情報化戦略部長 岩﨑林太郎 氏
  • 神戸市 企画調整局 情報化戦略部 イノベーション担当課長 森浩三 氏
  • 神戸市​ 企画調整局 情報化戦略部 ICT業務改革専門官 砂川洋輝 氏(モデレーター)

■「前向きな気持ち」で仕事に取り組むためには?

神戸市 ICT業務改革専門官 砂川氏(以下、砂川):

今回は参加している職員から50以上の質問をもらいました。時間も限られているので、少し内容をまとめて質問させていただこうと思います。まず、仕事において、社員それぞれが前向きな気持ちを持つにはどうしたらいいでしょうか?​

左:モデレーターを務めた神戸市ICT業務改革専門官 砂川氏


サイボウズ代表取締役社長 青野:(以下、青野):

前向きな気持ちを持つためには、風土を変えていくことが必要です。これは、一朝一夕にはできないということを覚悟して取り組まなければいけない。一つ一つの積み重ね。小さい成功体験が大事。一気に大きいことをやろうとするのは難しいですが、小さなトライが上手く行ったら続ければいいし、上手くいかなければやめればいい。まずは、小さな変化を起こしていくことが大事だと思います。サイボウズもそうだよね?最初から皆が前向きだったわけじゃないよね?(無言でマイクを渡す)


右から2人目:サイボウズ代表取締役社長 青野 慶久


サイボウズ執行役員 栗山 圭太(以下、栗山):

どこで渡すんですか(会場笑)

私は営業本部長として200人強の組織を預かるポジションでやらせていただいています。よくサイボウズの経営陣でもモチベーションについて話すんですが、「選択権が現場にあること」「選べること」これが一番大事だと思います。例えば働き方にしても、一律残業禁止にして喜ぶ人って実はあまりいない。でも多くの企業は水曜日をノー残業デーとするような、一律のルールでやっていますよね。サイボウズの場合は、ノー残業デーのような一律のやり方は絶対にやりません。月曜に早く帰りたい人もいれば、火曜に早く帰りたい人もいる、そもそも早く帰りたくない人もいるかもしれない。そこの選択権を各自が持てるということが、サイボウズのメンバーがモチベーション高く働けている要因じゃないかなと思います。

青野:

「色々な人がいていいよね」という組織でないと、自分で選ぼうという主体性も出てこないです。まずは選択肢を用意して、一人一人が選んでみる。上手く行ったらもっとやってみる。このサイクルを回すことかなと思っています。


神戸市 岩﨑部長(以下、岩﨑):

私は国で働いている期間が長いので、霞が関の雰囲気も踏まえて社長の話を聞いておりました。霞が関は軍隊のような空気があります。国会に向けて皆で突き進むようなイメージで、上司の言うことが絶対という雰囲気。入省した時に教わったのは、上司・先輩から何か言われたら「はい」か「YES」か「喜んで」と答えろと。

神戸市 企画調整局 情報化戦略部長 岩﨑林太郎 氏


青野:

そんなことを教わるんですか?それは怖いですね(会場笑)

岩崎:

多少無理をしてでもミッションをコンプリートすることが大事な局面もあるんだろうなと思いつつ、やはり息苦しさを感じる時もあります。働き方改革を国全体でやっていますが、ノー残業デーについても皆に「無理やり」取らせるようなことが多い。これが個人的には嫌で、神戸市ではそのようにしたくない。それぞれが好きな時に自由に働いて、幸福度がマックスになるような働き方・生き方を神戸市で実現したいです。

栗山:

ノー残業デーというと、サイボウズにはプレミアムフライデー事件というのがありましたね。

青野:

以前、プレミアムフライデーを皮肉った交通広告を出したら、経産省から電話がかかってきました。「いじってくれてありがとう」と言われました(会場笑)

日本人は決められたことを守るようにトレーニングされていると感じますね。それは小学校からそう。小学生は学びたい科目も、担任の先生も自分で選ばないですよね。夏休みの宿題も、出された通りにやった子が良い子とトレーニングされているので、自分で選ぶというトレーニングは出来ていない。でも僕は、「選ぶ」という行為をやった経験がないだけでやればできると思っているんです。明日何時に出勤するのか、どこで働くのか、何の仕事をするのか、そういう身近なところから選ぶということをトレーニングしていただけたらなと思います。


■上司はどうあるべき?

神戸市 情報化戦略部 イノベーション担当課長 森氏(以下、森):

小さい成功を積み重ねる、現場で選択するというのは、仰る通りトレーニングされていないと思う。今日参加しているのは担当者レベルの方が多いですが、皆さん共通の仮想敵国がいると思っています。それは上司なのではないかなと。(会場笑)皆さん、何かを変えようとすると「それはないやろ」という空気を醸し出される、そんな経験はないでしょうか?

かく言う私も上司の立場です。上司は敵にもなりうるし、後押しができる存在でもあると思っています。ここに来ている係長・課長のために青野さんに聞いてみたいのですが、リーダーとして気を付けるべきことはありますか?また、リーダーがこれをやったら、サイボウズの部門が良くなったという事例はありますか?​

神戸市 企画調整局 情報化戦略部 イノベーション担当課長 森浩三 氏


青野:

上司の人には、価値観を押し付けないでほしいですね。僕も部下を持つ立場で、部下が色んなわがままを言ってくるわけです。「僕は週3日しか働きたくないです」とかね。最初のうちは「はあ?何を言ってるんだ君は?」という感じですよ。在宅勤務を週1日できるようにした時は、「週1日とかじゃなくて、基本的に会社に来たくないです」という人も出てきて、その時も「はあ?」と。

青野:

ただその時に、僕は試されているなと思いました。そこで「そうは言っても、まだ若手なんだから会社に来いよ」とか言ってしまった瞬間に、多様な個性が死んでしまう。自分の考えを押し付けたくなる気持ちもあるけど、押し付けちゃったらその人辞めますからね。辞められてしまったら、仕事量としてゼロになるわけです。そこで「辞められるよりは、いいか」みたいなことになる。社員が週3日しか働かないとなれば、100%(週5日)から60%になりますけど、ゼロになるよりは随分マシですよね。それくらい上司の方は余裕をもって、見てあげてほしいなと思います。

栗山:

サイボウズではこの7年間、年率20%の成長をしてきました。いわゆる高成長企業です。しかし、その中で大きな組織を預かる私自身の能力が毎年20%以上伸びるか?と聞かれたら、それは厳しい。ですので、全て私の価値観で営業本部を率いてしまうと、年率20%伸びている会社の中で営業本部が確実にボトルネックになってしまうんです。「自分の成長=組織の成長」にしてはならないと管理職が気付くことができれば、部下に自分の考えを押し付けず、聞く耳を持てるようになります。

逆に、部下に自分の考えを押し付けている上司に対しては、「君はそんなに自信があるのか?」と思うわけですよ。僕はトップマネジメントなので部長クラスが部下になるわけですが、もし部長が部下に対して価値観を押し付けている姿を見たらすぐに呼び出します。「君の言うことは絶対か?」というような会話をしながら、自分の成長=組織の成長にならないように管理職として心がけています。社長の前なので良い事言ってます(会場笑)

サイボウズ株式会社 執行役員 営業本部長 栗山圭太 氏

■多様な個性を受け入れるためには、どんな「評価」をするべき?

砂川:

Slidoの方からも質問をピックしていきたいと思います。人事評価の部分について深掘りしたいのですが、特に給与がどう決まるのか教えてください。

青野:

サイボウズでは人事評価ではなく給与評価という考え方をしています。多様な個性を受け入れていくと、給与評価も多様にならざるを得ません。メンバー同士を比較することはせずに、その人が今市場でどれくらいの給与をもらう人なのか、よりシンプルに言うと今転職したらどれくらい給与をもらえる人か、もしくはサイボウズに入社しようとしてきたら僕らはどれくらいの給与でオファーを出すだろうかを考えます。それはスキルや実績、働く時間、場所、色んな要素が関係しますけど、それらを見た上で「適当に」決めています。

適当なので交渉しても構いませんということにしています。「僕は転職したらプラス100万円くらいもらう市場価値があります」というのであれば交渉してくれればいいし、実際にそれで給与が上がった人もいます。公務員という職域の中では難しいかもしれませんね。

当日は質問受付システム「Slido」を利用して会場からの質問を集めました


砂川:

評価するマネージャーの立場ではいかがですか?大変そうですが。

栗山:

非常に大変です。給与評価に少なく見積もっても年間で丸5日分くらいの時間は使っているかもしれません。給与の最終決定は役員会(本部長会)で決めるのですが、ここでも丸2日分くらいの時間を使っています。「市場評価に基づいて適当に決める」という方法ですが、1人1人をちゃんと見ているからこそ自信を持って給与の決定を出せます。働き方、成果、希望するキャリア、全てを把握した上でないと1人1人決めるということはできないですから、とても大変です。給与テーブルにしてくれたらどれだけ楽なことかと思います。

岩崎:

公務員もおそらく成果主義は取れると思います。民間と違って売上がないので成果を測る指標をどうするかは難しいのですが、役所として行った仕事が10年後、文科省であれば50年度かもしれませんが、日本にとってプラスになるかどうかはある程度知見のある方であればわかるんです。ですので、大事なのは周りの人や上司が適正に評価すること。それができれば上手く回るはずですが、人間関係中心に評価が決定されている部分もあり残念だなと感じています。また、役所は年功序列が非常に強く、経験年数等に基づいて給料表に当てはめて給与が決まっています。これを改善するとしたら、民間に転職してもまた戻れるような自由性を持たせて、(給与テーブルではなく)成果を見て適正な給与を決めていくようなことができるという余地が、公務員にもあると思います。


青野:

公務員でもやれるということが今わかりました(会場笑)

岩崎:

異論反論はいっぱいあると思いますが(笑)

青野:

ただ、成果主義と言ってしまうと冷たい感じがするんですよ。市場性は成果だけではないですからね。例えばプロ野球選手でも、「この選手は伸びる」と思えば成果を出す前でも高い給料を出すこともあるでしょう。あるいは、その人自身は直接成果を出していないけど、その人がいることによって周りが成果を出せるという人もいるでしょう。成果だけではなく、まるっと見てあげることが大事です。そして、この「まるっと見る」を可能にするために、仕事のデジタル化が必要になるんです。仕事をデジタル化し、グループウェアのような情報共有ツールの上で仕事をするのが当たり前になると、今まで自分と上司の間に閉じていた仕事が、全体に向けてオープンになる。そうすると「あの人はこんな良い仕事をしているよね」というのが他の部署の人からも見えるようになる。サイボウズでも、営業メンバーの日報を開発メンバーも見ていてコメントしたりしていますから。デジタル化した空間の中で働くということは、自分の仕事をオープンにすること。そうすると一部の人の偏った評価ではなく、まるっと自分を認めてもらえることになる。そんなイメージを持っていただけると良いと思います。

■公明正大な風土を作るために、情報をオープンにすることが大事​

森:

神戸市でも5月10日から全庁でグループウェアを導入しました。徐々に活用が広まっているが、まだ自分の情報を他者に見せたくないとか、グループチャットについてもメールで十分と考えて使わなかったりという人もいます。サイボウズは選択肢を提示したらどんどん使っていく社風がありそうですが、公務員は奥ゆかしい人が多いので活用の促進に苦労しています。変化に対する恐れのようなものを、サイボウズではどう壊して、巻き込んでいるのでしょうか?

青野:

先ほど主体性の話がありました。これが重要な一つの風土ですが、もう一つ風土が必要になります。それが「公明正大」という風土です。これも風土なので、日々少しずつ成功体験を積み上げて作っていく必要があります。例えば身近なところでは、会議の議事録をメールで送り合ったりせずに、全体に公開する。サイボウズでは、経営会議の資料を即日中に議事録が公開されます。その会議で何のテーマが話され、誰が何を話し、どのような結論に至ったのかまで全て公開します。即日公開なので誤字脱字や議事作成者の思い違いもあったりしますが、それでもどーんと出した上で、会話をしながら修正していく。そうやって身近なところから「公明正大」にしていくことが大事です。

青野:

これは、なかなか勇気がいります。特に上の役職の人は、自分のポジションを守るために宛先を選んで送ったりしますが、そういうことはやめてどんどんオープンにしていくことが大事です。今、よけいなことを言いましたか?(会場笑)

岩崎:

数年前の自分を言われているようです(笑)

青野:

これをやろうと思ったら、変に攻撃し合うのをやめるのも大事です。せっかく情報をオープンにしたのに攻撃されたら、隠したくなるのは当然。多少間違いがあったとしても、隠さずに言ってくれてありがとうという気持ちを持つこと。寝坊したことも正直に言ってくれてありがとう、と。まあ寝坊するのはどうかと思いますけど(会場笑)それでも、ちゃんと隠さずに言ってくれた時点で、一番大事なベースの部分はOKなわけです。後は寝坊しないように工夫していけばいいだけの話。でも、どれだけ仕事が出来る人であっても、寝坊したことを隠してしまったらその時点で0点ですよ。一番大事な風土の部分が出来ていないわけですから。だから、このベースの風土を大事にしていっていただきたいと思います。


■温度差がある環境で、熱意を伝播するには

砂川:

残り10分となりましたので、どうしてもこれを聞きたいということがあればお受けしたいと思いますが・・・吉永さんいかがでしょうか?

吉永:

青野さんの本「チームのことだけ、考えた」を読んで印象に残ったのは「頑張ることと、命を懸けることは違う」という文章です。公務員にも、本気で街を変えようとやっている人と、なんとなく安定しているからやっている人がいるように感じていて、そこに熱量の差があります。一方で、熱量は伝えていくことができると思っているのですが、サイボウズではどのように思いを伝播させているのでしょうか?

青野:

本の中では、リーダーは真剣にならないとメンバーが付いてこないという文脈で書きましたが、伝え方はあの手この手です。私が会議で発する言葉、グループウェア上で発信する内容、他社から受けた取材で語る言葉など、色んな方法を使います。サイボウズでは、月に1回の全社ミーティングを毎月第2月曜日に行い、私がリアルに全メンバーに直接言葉を発しています。開催時間が18時~のため出席できないメンバーもいるので、動画にとって全社公開もしています。トーンで伝わることもあるので、そういう機会も大事にしたいと思っています。


■紙をなくすためにも、情報が見えるように

砂川:

あと1つくらい質問できそうですが、いかがでしょうか?

青野:

(Slidoを見て)紙無くならない問題、いきたいですね。

これ「紙を印刷したらダメルール」作ったらどうですか?以前、社長と会議するというので気合が入ったんでしょうが、会議資料をカラーで印刷してきて僕にえらい叱られた社員がいました(笑)「えー、これいくらするの?」と。あと、サイボウズの複合機には印刷単価が貼られています。カラー1枚〇円、白黒1枚〇円という形です。コスト意識とあわせて考えると良いのではないでしょうか。「あなたが紙を欲したせいで、500円損しましたよ」というのが見えるようになれば変わるのでは。

栗山:

会議資料くらいだったらすぐに無くせそうな気がしますが、質問に記載されている紙とはどんなレベルのものなんでしょうか?

岩崎:

会議資料や、上司に説明するためのペーパーくらいのイメージですね。

青野:

(参加者に)紙、印刷してますか?

参加者:

印刷しますね。結局PC環境が整っていないので、PCの電池が切れた場合に備えて紙を印刷したり。

青野:

紙を無くすと同時に、ノートPCを1人1台にしないとね。会議もPCを見ながらできるように。紙を無くすのと同時に並行してそれもやっていかなければいけませんね。

栗山:

内部会議の資料は工夫が必要です。僕らも資料作成の際にはフォントサイズを14ポイント以上にすること、と言った形でルール整備もしています。若い人たちは10ポイントの小さい字で書いたりしますが、色んな年齢層の方がいますから。

森:

議会や地域団体も紙が多い。地域団体は高齢の方が多いので、いかに電子化するかが課題だと思います。

青野:

最近はお爺さん、おばあさんでもスマホを使う人が増えていますからね。

砂川:

お時間になってまいりました。最後に青野さんから総括のお言葉をいただけたらと思います。

青野:

短い時間でしたが、お付き合いありがとうございました。ぜひ今後も意見交換しながら、全庁的な業務改善が進められることを期待しています。サイボウズ大阪オフィスは梅田阪急ビルの上にありますが、皆さんでワークショップができるようなスペースも用意しているので、神戸市をどんな街にしていくのか、どんな改善ができるのか、意見交換の場として使っていただけたらと思います。本日はありがとうございました。